●更新日 02/13●


マッチョな同棲相手の謎の行動3


 

ターゲットであるマッチョは興奮が収まっていないように見えるが女性の説得で渋々改札を通過、ホームへ向かう前にトイレに入る。
「んっ。」

距離を離していた為か2人が男子トイレに入ったように見えた。目の錯覚かとも思ったが心のどこか に好奇心があった。念の為と男子トイレに入るとマッチョも美女もいない。ただ、個室が1つ使用中だ。という事はマッチョが入っている。それは間違いない。そして、目の錯覚でなければ美女もこの中に。

ひとまずトイレを出て、深呼吸、知らず知らずのうちに自分も対象者並みに興奮していた。それから忍び足でトイレに入る。男子トイレに忍び足で入るのは小学生以来だ。個室の前に行き、そっと耳を近づけると、まさに「はぁはぁ。」と性行為の吐息が漏れている。

この薄い1枚のドアを隔てた向こう側にあの美女が。まさにまっ最中。最高の不貞の証拠が目の前にあると思ったものの、映像が撮れない。トイレの個室は私的空間なので撮影するわけにはいかない。
それがどんなに依頼者の望む証拠であっても法律を犯すような調査員にはなりたくない。

とりあえず、撮影は2人が男子トイレから出れくるところを撮影することにした。だが、聞く分には何の問題もない。人の足音が近づくと小便器の前に移動し、人がいなくなると耳を傾け。まさに、だるまさんが転んだ状態だ。ここまで本気で「だるまさんが転んだ」をしたのも小学生以来だ。
個室に入って15分位経っただろうか、勤務先での監視とは比べ物にならない程、時が経つのが早く感じた。トイレットぺーパーを巻き取る音を確認し、トイレを出る。程なくして2人も出てきた。直ぐに美女は女子トイレに入る。美女を待っているマッチョはどこか大きく感じた。トイレを出た美女と合流したマッチョはホームへ移動、2人は別れ、別々の電車に乗った。


依頼者との段取りで、もし女性と接触した場合、別れたら「女性を追って行き先を判明して。」との指令の為、対象者の追尾を止め、女性の監視に切り替える。



電車内で澄ました顔をしている美女がさっきまで駅のトイレで性行為をしていたとはこの電車内でまず誰も思わないだろう。
その後、女性は横浜市内のマンションへと入っていった。

調査終了の映像を撮ると、日付が変わるのを目前にしていたが駅のトイレを出てから調査終了を迎えるまで寒さを全く感じなかったのは言うまでもない。



そんな寒くて熱い冬の思い出だ。





金の卵



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