●更新日 12/15●


「中国はアサヒってる」と朝日が批判し壮絶な自爆


ネットでは「アサヒる」でおなじみの朝日新聞が、いつもは肯定的な評価の対象であるはずの中国に対して、「アサヒってる」と指摘する記事を掲載した。
その記事は2007年12月15日の「南京事件70年―数字の争いを超えたい」と題した社説。

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ここまでは「あぁ、いつもの朝日の論調だな」という感じなのだが、この後、予想外の展開に。記事から直接引用しよう。

「新しい記念館の壁などには「30万人」という犠牲者数が書き込まれている。中国での戦犯裁判で確定した数字、というのが中国側の公式見解だ。しかし、これにはさまざまな見方があり、日中間の感情的な対立も招いている。日本の専門家の間では、数万人説や「十数万から二十万人」説などがある。私たちも30万人はいくらなんでも多すぎると思う。」

いつもならば、「中国が提示している数字を真摯に受け止めない日本の態度は問題だ」というような論調のはずなのに、さすがに30万人は多すぎだと思ったのだろうか。

とはいえ、そこは朝日新聞。その直後に「だが、一部では虐殺自体を否定する暴論まで語られている。新記念館に掲げられた数字は、そうした日本の論議への怒りを表してもいるようだ。」と、フォローとも取れる記述が続く。 しかし、これはフォローになっていないことが分かる。「暴論」への「怒り」を理由に、不確かな数字を掲げていいのかという根本的な問題が、意図的に無視され、話題がすりかえられているかのようだ。

しかも、「30万人」説を批判している箇所を読んだ時に、どうしても気になってしまう朝日絡みの過去の発言がある。2007年10月4日のニュースウォッチで扱ったように、沖縄で行われた教科書検定問題に関する集会の主催者発表人数「11万人」を朝日新聞がそのまま報じたところ、それに産経新聞が噛みついた。すると、今度は「新しい歴史教科書をつくる会」からも、産経新聞に同調する意見が出された。「つくる会」は、実際には参加人数は2万人程度ではないかと述べた。

この件について扱った10月4日の報道ステーションで古舘伊知郎キャスターは、「仮に2万人だったとしても何がいけないんでしょうかねぇ。違うと思いますね。沖縄の人たちの、深い拭い去れない悲しみということと、どう向き合うかではないでしょうかね」とコメント。

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この発言はネット上で注目を集め、「フルタチる」という新造語が登場したほどだ。その意味は、「開き直ること。居直ること。自分の立場が不利になったり、欠点、弱点、過ちを突かれたりしたときなど、相手に対して逆に強い態度やおどすような態度に出る様子」だそうだ。

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集会の参加人数の問題と、殺害された人数のような深刻な問題を同列に扱うべきでない、という意見もあるかもしれない。だが、事態をできるだけ正確に調査し報道しようと努めることは、マスコミの使命であるとも言える。その意味で、古舘氏の発言は問題があったのではないか。その点について、今回の社説を書いた朝日新聞の担当者がどのように考えるのか、興味深いところだ。



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