見えない敵（中編）

前回

早朝５時から調査は始まった。

彼女のアパートは大通りからはずれた静かな住宅街。
我々探偵でもなかなか張り込みが難しい場所であった。


「この立地条件であればすぐに見つかるだろう」などと思っていた。

午前８時、彼女の出勤時間。
張り込みを開始してから3時間経つがそれらしき人物は見当たらない。
そのまま彼女の尾行を開始する。

会社までの約1時間の道のりを、我々がぴっちり尾行する。
しかし、これまたそれらしき人物はいない。

「ちっ今日ははずしたか？運が悪いぜ」なんて思いながら調査を続ける。

彼女の話では会社にいる間もどこからか見ているという情報だが、会社のまわりにもそれらしき人物は見当たらない。

１８時。彼女の仕事が終わる時間。
会社から出てくる彼女を確認し、尾行を開始する。


帰り道にもそれらしき人物には遭遇しなかった。
彼女が帰宅後３時間、彼女のマンション前で張り込むが特に何も無し。
午後10時に本日の調査終了。
依頼者である彼女に終了の報告電話をした。

「今日はそれらしき人物は見当たらなかったですよ」と伝えると、
『何をいってるんですか！ずっと私の後ついてきてましたよ！気が付かなかったのですか！！』

え？そうなの？
思わず驚き顔。

しかし、ビデオカメラにもそれらしき人物は写っていない。
気をとりなおし、翌日も調査を行うが・・・



つづく



女探偵さくら