●更新日 10/23●
失敗
荒木です。
油断は大敵である。
少しの気の緩みが大きなミスへと繋がる。
私の失敗談を語ろう。
ジェリー・ウッズは19歳のプッシャー(ヤクの売人)で、知人に通報されて逮捕となった。
ベイルボンズ(保釈保障会社)に保証してもらい、公判までシャバの空気を吸えるようになったがそのままジャンプ(逃亡)してしまった。
ヤク絡みの指名手配者は組織が動く可能性があるのでリスクが高い。なので私は好んで請け負わないのだが、若年の売人であればただのチンピラだろうとナメてかかった。
これが間違いだった。
懸賞金は3000ドルだ。
警察が逮捕時に作成したプロファイルを吟味してみた。
結果、行方を追う手掛かりはジェリーのガールフレンドであるナンシー・ラブロック(18歳)と睨んだ。彼女は交通事故に遭い重傷で入院中。
病院を張り込んでいれば獲物は見舞いに必ず現れると考えた。
張り込みから四日後、逃亡犯ジェリーの姿をついに捉えた。
駐車場で歩く獲物の背後から声を掛ける。
ジェリーが振り向いた。
その瞬間、首筋に激痛が走り、私は気を失って倒れた。
目覚めると私は病院のベッドに横たわっていた。
そこでジェリーの仲間が私の背後から鈍器を降り下したことを悟った。
ジェリーだけに神経を集中させたのが誤りだ。
まだ痛みが残った状態で、暫くの入院を勧められたが病院嫌いの私はすぐさま抜け出した。
だが時すでに遅しで、病院で寝ている間に同業者が先回りして獲物を捕らえてしまった。
悔しいのは当然だ。
油断するとこういう事になるので、以来、常に周囲にも気を配っている。
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