●更新日 05/17●
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のんさんの日記 『連帯保証人1〜おねがい〜』





「いや、無理。一緒に来てもらうから。」


目の前が真っ白になる、というのは、こういうことを言ったのだろう。
突然やってきて、彼女が行方を断ったことを告げ、「いま」「すぐに」「ここで」どうにかしろ、と言う。大体、20代の女の子の一人暮らしの部屋に、390万円なんて現金がある方がどうかしている。

いつもと何ら変わらない昼下がり。

私はいつものようにバイトに行く準備をしていた──────だけなのに。

なんの前触れもなく、徹底的に理不尽な出来事におそわれた。



…前触れもなく?

いや、それは正確ではないかもしれない。



「おねがい!頼める人は、のんちゃんしかいないの!」

白い肌の巨体を揺らして、目の前で頭を下げる<ともぼー>。

私にとって、ともぼーは、「カレシの親友のカノジョ」ってやつだった。130kgくらいあると言っていたか…。


「ごめん、今は何とも返事ができないからさ…。また夜、電話するよ。」

「うん、うん、ごめんね、でも、のんちゃんしか頼めなくて…」

「うん、それはわかったけど、ともぼーも、他の方法もあたってみて?ね?」

「うん、わかったから、本当、のんちゃん、お願いね」


これは何を言っても私に引き受けてもらおうって決めてる────

────巨体を揺すりながら遠ざかっていくともぼーを見送りながら、私はひどく気分が重かった。


写真


私を憂鬱にさせた、ともぼーの「おねがい」

交差して耳に浮かぶ、カレの声。


<俺はともぼーを信用してない。だから深入りするな。絶対だぞ>


私は、ともぼーに、

300万円という借金の連帯保証人を頼まれた。

20歳になったばかりの。しかも、そういった体つきが求められる「専門店」で働いているともぼーでも、借りられるようなところ…


「トイチ」


ともぼーが早口で流すように言った単語、聞き逃しはしなかったけど

私には初めて聞く単語だった。



のん のん


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