●更新日 05/16●
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STAP細胞騒動 〜STAP細胞移植された犬と猿の行方2〜





森口尚史

前回はSTAP細胞移植された猿の行方について述べた。
今回はSTAP細胞移植された犬の行方について。

ハーバード大学のバカンティ教授は先日、来日された際に「STAP細胞移植された脊髄損傷犬が歩いた」と講演で述べた。その内容を記者団から聞いた理研の広報室長は「すごいね。もし、それが本当ならね(笑)」と語ったそうである。私にとっては移植の原料となった細胞がSTAP細胞であろうがなかろうが、この程度の治療効果ならば、すでに英国ケンブリッジ大学から論文報告されているので別になんとも思わない(http://www.cam.ac.uk/research/news/first-randomised-controlled-trial-to-show-spinal-cord-regeneration-in-dogs)。
その内容は下記のとおりである。

重症の脊髄損傷犬が、鼻の粘膜にある嗅神経鞘細胞(OEC)移植によって歩けるようになったという話である。この研究では、脊髄損傷のため歩く際に後ろ足を使えなくなった犬34匹が2群に分けられた。実験群では損傷箇所にOECが注射(自家移植)された。実験の結果、実験群では対照群(OEC移植がされなかった群)と比べて大きな改善が見られ、重症の脊髄損傷犬は麻痺していた後ろ足を前足と協調させて動かせるようになった。この研究は症例数がまだ少ないとはいえ、研究手法上では一番信頼能力の高いとされる「無作為化比較試験」での結果である。
また、この論文発表後、OECと神経幹細胞とを同時移植すれば更に効果が見込めるという論文報告も見られ、脊髄損傷に対するOEC移植については更に臨床での期待が持てる。恐らくヒトの脊髄損傷治療では(OEC+神経幹細胞)移植+リハビリが近いうちに試されるだろう。

ところでバカンティ教授が脊髄損傷モデル動物で、なされた実験は「STAP細胞+神経幹細胞移植」だったと述べたと聞いている。これらから推定するに、おそらくバカンティ教授は上記の研究をよく存じておられ、彼がSTAP細胞としている細胞は犬のケースではOECだろう(笑)
違うのですか教授。それでは貴殿らの実験で使用された細胞の実物と施設内倫理委員会申請書類を拝見させてください。よろしくお願いします。



森口尚史(元 東京大学特任教授) 森口尚史


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