●更新日 03/26●


今回はあまりゲーム脳って聞かないな


本日のスパイ日記でもお伝えした茨城8人殺傷通り魔事件。
ニュースウォッチでもお伝えしたように、犯人の金川真大容疑者は過去にゲームの全国大会で前年度優勝者を破るようなゲーム好きであった。しかし、今までであればこういった事件が起これば一斉に起こっていたゲーム叩き、いわゆる「ゲーム脳」発言が今回は比較的行なわれていない気がする。

もっとも「ゲーム脳」自体は元々科学的根拠に乏しいトンデモ理論と笑われており、2006年には日本神経科学学会の津本忠治会長が学会誌にて、直接の名指しこそ避けているが「ゲーム脳」=エセ脳科学と断定している。

ご存知のように最近「脳」をタイトルに入れた「似非脳科学」「とんでも脳科学」的な書籍が本屋の店頭に並んでいます。このような論理の飛躍した本は研究者としては、相手にしない、或いは放置しておけば良いとの見方もあるかもしれません。しかしながら、著者の研究ですべてが解ったかのように書かれ、それがまた間違っている場合は基礎的な神経科学研究の重要性の理解を減弱させ、また神経科学に対する信頼性を損なうといった種々のマイナス効果を生み出すと思われます。したがいましてできるだけ多くの機会を利用して間違いをただし、科学的に正確な情報を一般社会へ発信するよう努力したいものです。
(「神経科学ニュース」2006年No.1)

ここまできっぱり否定されながらも、この後も変わらず事件の犯人がゲーム好き、いや、単にゲームを所持していただけでも犯行の原因をゲーム単体に求め「ゲーム脳」という言葉が飛び交い続けた。それは、マスコミが犯人をキャラクター付けする際に便利だったというのもあるが、ひとえにゲームを規制したい立場の人間=ゲームをやらない世代(保護者)にとって都合のよい意見だったからである。
しかし、この度の報道ではこれほど「ゲーム脳」と叩ける要素が整っているにも関わらず、一部の記事や番組などを除いて激しいゲーム叩きが起こっていない。
その理由。

それはゲームというものがついに一般化してしまったからではないだろうか。

今までのいわゆる「ゲーム脳」支持者=保護者世代はゲームというものに自らが接していなかった人間達である。自分達の知らない「何か」が子供達の時間を奪う。それだけが保護者世代にとっての「ゲーム」であり、それはそれは憎むべき敵であった。
しかし、最近はいわゆる保護者世代もWiiやDSによって「ゲーム」というものに触れるようになってきて(何せWiiで500万台、DSにいたっては2200万台もの数が販売され、連日テレビで「自分達に向けた」ゲームのCMを目にしているのである)「ゲーム」がわけのわからない何かから単なるゲーム、つまりあって普通のものに変化してきた。
こういったゲームの一般化こそが「ゲーム脳」信者を減らす最大の要因になったんでしょう。
(ま、あと小さいころからゲームしてきた人間が親になってきてるっていうのもあるけどね!)

実際、このような流れは昔から繰り返されてきたことです。

昔は漫画を読むと馬鹿になると言われ(今でも言われるけど)、そのまた昔はテレビを見ると馬鹿になるといわれ(今でも言われるけど)、そのまた昔の明治や大正の時代には小説読むと子供に悪影響がでるとまで言われてたんだがら(これはあまり言われないなぁ)。
ゲームもまたこのような時代の連鎖の1つでしかなかったということなんでしょう。

ま、結局のところ、自分の知らないものは極力排除したいっていうのが人間ってもんですわな。

とりあえず今はネットですかね。一番叩かれるのは。

ネットというだけで無意味なまでに叩かれなくなるのはいつの日か……。

でも、ネットの場合本当に叩かれる要素もふんだんに持ってるから難しいんだよなぁ。



大住



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