●更新日 03/27●


大学で「親の七光り」はどこまで通用するのか?


2008年3月16日のスパイ日記で取り上げた、横浜市立大学の博士号授与に伴う謝礼問題に新たな展開があった。
3月25日の東京新聞によると、横浜市立大学副学長、奥田研爾教授が、同大学大学院医学研究科に在籍していた長女の博士号学位論文の審査で主査を務めていたという。
親子間での学位審査について、大学側は不適切であったと認めている模様だ。

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前回の記事に続き、某大学の教員に昨今の大学裏事情について話を聞いてみた。今回は、大学で

「親の七光り」がどこまで通用するのか

ということを中心に質問し、以下の回答を得た。

――博士号の審査に身内が関わるというのは、やはり例外的でしょうか。
「博士論文の査読担当者に身内が含まれているということは、まずありません。たとえ副学長が絡んでいたとしても、容認されることはないでしょう。特別な事情があって適切な担当者が他に見つからない場合は、他大学の教員に依頼するというのが普通です。今回の件について、大学側が事前に知っていながら放置していたというのなら大問題ですよ。」

――大学で「親の七光り」はどこまで通用しますか。
「昔ほどは通用しにくくなっています。とはいえ、教員の身内に対する「特典」とでも言うべきものはあります。例えば、身内の場合は学費がある程度安くなることがあります。大学の授業料は平等であるべきなのですが、実際には身内は例外です。そのことは公にしていない大学も多いので、通常の学費を払っている一般の学生が知ったら納得できないかもしれませんね。」

――大学入学時にも「七光り」の効果はありますか。
「建前上は、平等に採点されることになっていますが、

はっきり言って教員のコネは絶大です

特に医学部、歯学部はコネの世界です。例えば私の知っている例では、御茶ノ水にある某歯科医大の場合、実際には高校時代の成績も入学基準に満たなかった教授の息子がコネで入っています。入学は当初から確定していたので、高校生の頃も受験勉強はあまりやらなかったそうです。」

――入学後も「七光り」は通用するのでしょうか。
「基本的には、親が担当する講義は受講できないというのが普通だと思います。卒論の指導等も、他の教員のゼミで受けることになるわけです。そうはいっても、同僚の身内ということで、他の学生よりも指導教授の審査が甘くなるということはあるかもしれませんね。これは都内の国立大学の話ですが、教務等の担当者が、教員の身内である学生には履修登録等の手続きで、他の学生よりかなり便宜を図っているという話も聞いたことがあります。」

――他にどんな問題がありますか。
「教員の身内が教員として採用される場合の問題です。例えば教授や准教授の家族が、非常勤講師や研究員等に採用されやすいという話はよくあります。博士号取得後も職が見つからなくて、こういうコネを使って、身内が専任教員を務める大学に入ってくるというパターンですね。特にキリスト教系や仏教系の大学など、教員の連帯意識が強い大学に多いようで、教員だけでなく事務員にも見られます。理事長等の主要職を一族が仕切っている大学では、こういう傾向はより顕著です。」

やはり存在した「七光り」。身内に対する学位取得に関する優遇はもちろん、コネによる入学、それはまぎれもない裏口入学であり到底許されるものではないだろう。学生が社会にでる前に学ぶ最後の教育機関として、関係教員、職員には高いモラルを求めたい。



高橋



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