●更新日 09/16●


僕が探偵になった理由(前編)


僕が探偵になろうと思ったきっかけ、それはこんな事件があったからだ。

数年前、僕は老人ホームで介護の仕事をしていた。
介護の仕事は大変だったが、とてもやりがいがあり常に誇りを持っていた。

そんなある日、僕が担当しているおばあちゃんの鞄から髪飾りが無くなった。
その髪飾りはおばあちゃんがいつも大事に持っていたもので、僕も何度かそれを見ていた。
おばあちゃんは「きっとどこかに置き忘れたのよ」、そう言っていたが表情はとても悲しそうだった。



翌日、今度は管理室の金庫から現金が無くなっていた。
管理室には誰でも入れるようになってはいたが、今までそんな事件が起きたことは一度もなかった。
その後、現金や物の盗難は職場内で度々起こるようになった。
被害にあうほとんどは老人ホームに入居している高齢者。
被害総額はおそらく数十万ではないだろうか。

(2〜3ヶ月の間に何人もの被害者が出るなんて・・・犯人は誰なんだ?!)

当時の施設長は温厚な性格で、誰からも好かれる良き父のような存在だった。
僕は今回の盗難事件をなんとか解決したいとおもい、施設長室へと足を運んだ。

すると施設長室へ向かう途中、口論する男女の声が聞えてきたのだった。
気づくと僕はひっそりと更衣室に身を隠していた。



ドアからチラリとのぞくと、そこにいたのは施設長と女性職員。
この女性、ここ数ヶ月前に転勤してきたばかりの職員で、名前は佐藤絵美子。
年齢は45歳前後といったところだ。

口論の内容はこうだった。
「私はみなさんに気持ちよくなってもらいたかったんです!」
「それなのにどうしてダメなんですか!?」
「佐藤さんの一生懸命さはわかりますが、入浴のときになにもアソコを手で洗わなくても・・・」
「みなさん気持ちいいって言ってくれてるんですよ!!」
「佐藤さんがそういうことをすると、他の職員に迷惑がかかるんです・・・」


(はぁ?!)


そんな会話が続くと、佐藤さんは不甲斐ない顔をしてこちらのほうへと歩き出した。


つづく



週刊身長45



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