●更新日 04/21●


見えない敵(後編)


(前編)(中篇)

しかし、また同じ結果となった。
そこで、今度は彼女にストーカーが近づいてきたら、合図を送ってもらうことにした。

バッグを右肩にかけたら右方向。バックを左肩にかけたら左方向。バックを後ろで持ったら真後ろにストーカーが居るという合図になる。

調査を始めてすぐに右手で持っていたバックは右肩にかけられた。

しかしこの合図、実にわかりにくいんだよね・・・

しかし、それらしき人物どころか誰もいない。
そのうち左肩に持ち変えられる。
しかし左方向にも誰もいない。

探偵の頭に?マークが並んで行く。

「なぜ見つけられないんだ?どうしてなんだ?」

そして、小さな横断歩道で信号待ちをしているときにバックが真後ろで持たれた。
しかも合図としては彼女からかなり近い距離にストーカーが居ることになっている。

が、誰もいない。


「これはもしかして・・・」と探偵は思った。


結局、1週間行った調査でそれらしき人物は誰も出てこなかった。
ビデオカメラで撮った映像も彼女に見てもらったが、
彼女が言った一言は「このストーカープロですね。探偵さんにバレずに私についてくるなんて」

「ふふふ」ってちょっと笑ってた・・・

いや、それは流石に無理だ。
こちらは4人体制で行っているのだから、我々にバレずに彼女について行くなんて不可能だ。

その後調査は行わなかったが、ときおり電話で彼女からの相談だけは聞いていた。
そして調査から半年後、私が思っていた通りだったことが判明。

彼女は統合失調症という病気だった。

統合失調症とは簡単に言うと妄想や幻聴に襲われる病気。
薬を飲めば症状は治まるが、
この病気の大変なところは本人が病気であることに気がつきにくいという点。
それこそがまさに統合失調症。

彼女はそれから病院に通うようになりだいぶ良くなったとのこと。
まだたまに『誰かに追われている』感じがするが、『気のせいだ』と思える自分もいるという。

こういった相談は以外にも多い。
行動調査だけではなく、盗聴器発見調査としての相談も多い。
ストーカーや嫌がらせであれば、もちろん我々探偵が解決の為に全力を尽くすが、病気の場合はそう簡単にはいかない。しかし、我々がが動く事によって、解決の糸口になればと思う女探偵であった。



女探偵さくら



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