●更新日 04/02●
ストーカー対策(前編)
その女性と会うために、とある駅へやってきた。
待っていた女性は、かなりの美人。しかし、やつれ果てている。
表情には憔悴がにじみ、聞いていた年齢よりも老け込んですら見えた。
声をかけ、彼女と共に用意してきた車に乗り込んで移動。
走行中は幾度か余分に角を曲がったり、路肩に一時停車したりした。そのたびに後方を確認する。
どうやら大丈夫のようだ。尾行はついていない。
駅から数キロ離れた喫茶店に到着。店に入って話をはじめる。
彼女は今回の依頼者で、ストーカーの被害にあっているのだという。
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最初の兆候は約4ヶ月前。携帯への無言電話からはじまった。
見知らぬ電話番号から1日に数十回。
仕事中だろうと休み中だろうと、おかまいなしにかかってくる無言電話に辟易し、彼女は電話番号を変更する。
しかし、数日後には再び無言電話が始まった。
たまらず、その番号を着信拒否に設定。すると、今度は違う電話番号からの無言電話。
彼女は再び電話番号を変更。しかし、しばらく後には、また無言電話の再開。
どのような方法でか、相手は彼女が変更する電話番号を次々に突き止めるのだ。
やがて、事態はさらに悪化。
彼女の家に卑猥な内容の手紙が何通も届けられるようになる。
続いて、彼女の個人情報がインターネットに流れ始める。
犯人は特定できない。
悩みと憔悴で彼女の神経はみるみる磨り減っていく。
次第に自分の周りの人のすべてが犯人に見えてくる。精神に異常をきたしはじめる。
そして、1週間前から仕事を休まざるえない状況にまで追い込まれていた。
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全体的に見ると、ストーカー行為の犯人は被害者の知り合いというケースが多い。
しかし、なかには一度しか会ったことのない人物だったり、全く知らない人物だったりするケースもある。
今回、被害者である彼女を苦しめているのは何者なのか?
どうやって、彼女の個人情報を盗み出しているのか?
依頼を受けて、私達は調査を開始した。
つづく
チープ彦坂
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