●更新日 07/02●


ドラゴンゲートのサル入手経路不問が正当でない理由


ドラゴンゲートのサル虐待問題と鳥獣保護法違反疑惑について、続報を配信する。 (記事  1 2 3 4 5 6)

団体が飼育していた「コラ」というサルが福島県に移送・譲渡される際に、その入手経路等について福島県県北保健所が確認しなかったことを、前回の記事で扱った。これを読んだ人物から、以下の指摘が寄せられた。

まず、飼育の法的な手続きが必要なはずの野生動物を、業者Aが不正に入手する。そして、それを闇でBに販売・譲渡する。Bから動物を販売・譲渡されたCは、福島県県北保健所の管轄地域に住んでいる。Cは、当該の動物を適正に飼育する施設等を持っており、動物をどのように入手したのかということは一切問われない。

これにより、不正に入手されたはずの動物が、法的に問題のないものになる。福島県県北保健所を利用すれば、違法に入手した動物を正規に販売するルートも容易に構築できてしまう。以上が読者の指摘である。

コラに関する件をこのまま放置するとしたら、保健所は
このような犯罪の可能性を黙認することにならないか。



環境省・動物愛護管理法HP

多くの場合、保健所での手続きは移送・譲渡前になされ、飼育状況等についても確認される。一方、今回は、ドラゴンゲートによる移送・譲渡後に手続きが行なわれた。手続き自体は移送・譲渡前でなければならないわけではない。ドラゴンゲートは、この点を巧みに利用したのだろう。

つまり、第一の問題は、ドラゴンゲートがそれまで正式な飼育許可を得ていなかったにもかかわらず、福島県県北保健所がそのことを容認して新たに許可を出してしまったということだ。

第二に、現行法では法的手続きが正当であれば、入手経路まで厳密に確認するという体制が整っていないことである。



以上の点について、環境省に取材した。自然環境局総務課動物愛護管理室の担当者によると、動物愛護団体等からの連絡を受けて、一連の問題については把握しているそうだ。しかし、鳥獣保護法関連のことは各都道府県の管轄であるため、虐待の有無も含めて、兵庫と福島、そして警察が連携して調査すべきことであるという。

逆に言えば、現状では連携が十分には取れていないということであり、それゆえに上記のような問題が生じてしまった。そして、本件は特殊動物の扱いに関する法の不備に由来する問題でもある。その意味では、環境省にも責任の一端があるのではないか。



追記(2009/7/12)
「手続き自体は移送・譲渡前でなければならないわけではない。ドラゴンゲートは、この点を巧みに利用したのだろう」という一文を、本記事より削除した。
鳥獣保護法のみに基づくならば、移送・譲渡後の手続きでも問題ない。
しかし、動物愛護法の定めるところでは、飼育を開始する前に手続きを行なわなければならないことになっている。(詳細は、こちら)



高橋



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