●更新日 06/19●


秋葉原事件の原因は精神病と「ひぐらしのなく頃に」?


秋葉原連続殺傷事件の加藤智大容疑者が、「ひぐらしのなく頃に」について書き込んでいたと報じられ、またもや「ひぐらし」原因説が浮上している。
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2008年6月18日のZAKZAKによると、加藤容疑者は「自分を傷つけるものは嫌い。アニメやゲームは傷つけない」と証言したという。更に、「これが「東方」で使われたのと同じ武器なんだ」と友人に話したり、携帯サイトに「殺人を合法にすればいいのに・・・ひぐらしとか買っておけばいいのか・・・車でひけばいいのか」などと書き込んだりしていた模様だ。

6月10日の読売新聞によると、加藤容疑者は「自分は精神病にかかっている」、「子どものころ、親から「お前は必要がない」と言われてショックを受けたことがきっかけだ」とも主張したという。精神鑑定が繰り返され、アニメやゲームの影響を指摘する声も多かった宮崎勤死刑囚の死刑執行直後ということもあり、加藤容疑者の発言に注目が集まっている。
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そこで、アニメやゲームの影響について触れた先日の記事に引き続き、加藤容疑者の精神病に関する発言について、都内の大学病院に勤務する精神科医に話を聞いた。

「供述の信憑性は非常に低い」と同氏は言う。
以前取材して下さった時にも申しましたが、自己分析して「これがトラウマだ」と言えるものはトラウマではありません。トラウマを自己分析できると思っている人が多い一方で、トラウマを理由に挙げれば罪が軽くなるだろうという発想も普及しています。ネットを頻繁に使用していたという加藤容疑者の場合も、そういう発想なのかもしれません。」

同氏は、加藤容疑者の母親との関係にも注目している。
「容疑者のこれまでの供述を見ますと、本人はどこまで自覚していたかは別として、母親への依存度が高いようですね。学生時代に母親から過剰に期待され、やがて期待に応えられなくなると関係が悪化していったようです。しかし、当時から現在に至る容疑者の母親への激しい敵対心や憎悪は、母親から求められる存在になりたいという願望とコインの裏表のような関係であり、精神的に成熟しないまま成人になってしまったのでしょう。」

「精神病というのはごく簡単に言うと、分裂や妄想等の症状に特徴づけられるものです。それらの症状は、自我が安定して統合された状態が崩れることで出てきます。しかし、幼少期に親から「お前は必要ない」と言われてショックを受けたという経験が仮に事実だったとしても、その後も容疑者は母親の期待に応えようとしていました。これはフロイトが定義する神経症であり、自分が母親の欲望を完全には満たせない存在であるということを否認する態度です。神経症の状態では自我は統合されていて、それが非常に不安定になると精神病に至ることがあります。要するに、加藤容疑者は神経症の原因を自己分析して、それが精神病の原因だと説明しているという点で、完全に支離滅裂です。」

物事がうまくいかないと、原因を常に母親や周囲の他人に求める。自分で責任を引き受けるということを、加藤容疑者は常に回避しながら生きてきたのかもしれない。



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