●更新日 11/06●


イルカ漁に反対で暴動を起こす環境テロ組織の正体


2007年11月5日のニュースウォッチで紹介した、海外の有名女優らも参加したイルカ漁反対の抗議運動。
この件についての続報として、運動を組織した団体とその背景を紹介しよう。
今回の抗議運動を主導したのは、「シー・シェパード(Sea Shepherd)」という団体。





元々は環境保護団体「グリーンピース」の一員だった人々が独立して結成した団体で、過激な活動で知られている。過去にも様々な暴動を世界中で起こし、調査捕鯨活動を妨害する目的で漁船を沈めるなど、常軌を逸した運動を展開している。今回の件について、シー・シェパードは団体のHPでその様子を詳細に公開している。この団体は過去にも、太地町でのイルカ漁の様子の撮影や抗議運動を度々行っているようだ。HPでは、漁師によって捕獲されたイルカの血で水面が真っ赤に染まる様子や、捕獲された大量のイルカの死骸がボートに山積みにされている様子も紹介されている。





一方、今回の騒動の舞台になった太地町の漁業協同組合HPを見ると、組合は2003年の時点で、シー・シェパードの暴動を批判する一文を掲載している。その冒頭箇所を抜粋してみよう。「太地の伝統的な追い込み漁の漁師達は、またも今月始めにエコ・テロリスト集団のメンバーにいわれの無い攻撃を受けた。しかもその不法侵入者たちは、追ってメディアに対して数世紀にわたる伝統に基づいた漁業に関する事実をねじまげて報告し、自らの行動についても勝手な報告をおこなった。かれらの行動は、所属団体の資金集めの機会を拡大するためのものだと思われる。」






このような対立を専門家はどう見るのだろうか。生命倫理の研究者に電話取材した。

――シー・シェパードという団体をご存知ですか。
「はい。以前、環境保護団体の依頼で講演をしたことがあるのですが、その懇親会で捕鯨の話になったら、参加者からこの団体の話が出たこともあります。「あの団体のやっていることは環境テロリズムで賛成できない」ということでした。環境保護団体からも反発の声があるようですね。」



――このような抗議運動の背景とは、どのようなものでしょうか。
「一つは、欧米の文化でイルカやクジラのシンボル性が高いということです。オーストラリア政府が日本の捕鯨活動を批判する映像を作成したという最近の例でも、それが分かります。もちろん、それには政策的な意味も強いので、環境保護運動家たちが利用されているという側面もあるでしょう。ですが、知能の高さや苦痛を感じる能力を理由に、高等動物の保護を訴える人々が多いことは事実です。環境や生命の倫理を提唱してきたピーター・シンガーという学者は、そのような理由から、チンパンジーを殺すことは重度の障害者を殺すことよりも悪いことだ、などと述べています。」



――捕鯨問題については、どのように考えればよいでしょうか。
「まず、欧米の抗議運動はダブルスタンダードです。資源管理という観点から論じる時には種の保存が基準であるのに対し、動物の生存権を主張する時は個体レベルの話をしています。両者は議論の次元が違うので、混同されてはなりません。今回の抗議運動では、イルカが水銀汚染されていて危険だという理由も挙げていましたが、他国民の食生活をそんなに気遣ってくれているのでしょうか。そんなはずはないでしょう、単なる口実作りではないかと思います。一方、日本の見解にも疑問です。イルカやクジラが日本の食文化だと言われますが、それらが日常の食生活で身近な人というのが、現在どれだけいるのか。漁業文化について、その地域の人々が論じるならともかく、一般論として語られる場合には、「日本人のアイデンティティ」というものを偽装したイデオロギーのようなものを感じますね。捕鯨問題というのは、イデオロギーの対立に格好の材料なのです。」 捕鯨問題は本当のところ、それを論じる人々にとってどれほど重要なのか。それが自己満足のための議論や行動でしかないとしたら、これほど空しいものはないのではないかと、個人的には思う。



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