●更新日 11/01●


朝日新聞名物記者の「ありえない」大誤報


給食費未納問題で朝日新聞が誤報を流したと、ネット上で話題を呼んでいる。2007年10月28日、生活保護を受けている世帯の3割が給食費未納であると、同紙は1面で大々的に報じた。ところが、実際には30%ではなく3%の誤りだったことが判明し、30日の1面に小さな訂正記事が掲載された。

一方、同紙の有名記者があり得ないような大失敗をしていたことが、探偵ファイルの調査で新たに発覚した。朝日新聞の子会社である「アサヒテック」が編集し、同じく子会社の「きりん堂」が発行する「北の手かわら版」という、無料配布のローカル紙がある。同紙には毎号、朝日新聞記者の牧野愛博氏による特別寄稿が掲載されている。昨年発行された第68号の記事の題名は、「形容詞好き」だった。この記事で牧野氏は、安倍晋三氏の首相就任後初めての記者会見の様子を伝えている。

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記事の冒頭で牧野氏は、首相の名前を間違えるという大失敗をしてしまった。そこには、次のように書かれている。「私は首相官邸1階の記者会見室で、まもなく始まる安倍晋太郎首相の初めての記者会見を待っていた」。

「安倍晋太郎」というのは、言うまでもなく安倍晋三氏の父親に当たる人物の名前。「安倍晋三」の変換ミスは何回も見たことがあるが、当時現役だった首相の名前を間違えるというのは、あり得ないことではないか。普段の記事ではなく、ローカル紙への寄稿ということで、牧野記者の気持ちが緩んでいたのかもしれない。

牧野記者は、中国や北朝鮮の事情に詳しい人物として有名で、平壌を度々訪問していることでも知られている。「北の手かわら版」への寄稿でも、北朝鮮の内部事情や訪問時の様子について、これまで度々記している。ちなみに、同紙のHPには、残念ながら牧野氏の連載は掲載されていない。

今回の寄稿で牧野氏は、安倍氏の発言は分かりにくいと批判している。「形容詞と副詞が非常に多いのが気になった。「しっかりと」「凛とした」「美しい」などなど。抽象的でわかりづらい」と述べる。これと比較して興味深いのは、牧野氏のコメントが掲載された、2003年11月4日の東亜日報の記事。「日本極右派リーダーである石原都知事は、妄言をはく日本政治家のモデルの役割をしている。」と日本に批判的な意図で執筆されている。

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記事中にある牧野氏のコメントを引用しよう。「多くの日本の政治家は遠まわしに言うので、何を言っているのか理解ができないが、石原都知事は『そうだ』『違う』をはっきりとした口調で言うので、人気が高い」。この記事の文脈では、石原都知事の発言は「分かりやすい」ゆえに人気があり、牧野氏の立場から見ると脅威だということになる。そう考えると、安倍氏の発言は分かりにくいという牧野氏の見解には、このような政治家は自分たちに都合がいいという含意があるのかもしれない。

牧野氏は記事の末尾で、安倍氏の支持率が高い理由について理解できないとして、次のように記している。「長く永田町にいて世間の常識がわからなくなったのか。10月から政治部から外報部に移った。自分の目が濁っているのなら、少し勉強しなおさなければいけない。」

安倍氏支持者への痛烈な皮肉として書いたつもりなのだろうが、結果として自分自身への皮肉になってしまった。「世間の常識」である、首相の名前さえ間違えている牧野氏は、「少し」どころか相当勉強しなおす必要がありそうだ。



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