●更新日 09/22●


性の商品化を批判するBPOの正体


大麻所持で逮捕された、教育評論家の斎藤次郎容疑者。容疑者が委員を務めていた、「放送倫理・番組向上機構(BPO)」という団体について、ご存知だろうか。

斎藤容疑者は、子供に関する評論活動を中心に、多岐にわたって活躍してきた人物であり、教育基本法改正問題への反対運動等にも積極的に参加してきた。その斎藤容疑者が委員として関わっていたのが、BPOの「放送と青少年に関する委員会(青少年委員会)」である。

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委員会の活動について、BPOのHPでは次のように説明している。「この委員会は、視聴者から寄せられる青少年に対する放送のあり方や放送番組への意見をもとに、各放送局への意見の伝達と審議を行い、その審議結果と放送事業者の対応等を公表します。」

委員会のこれまでの活動を振り返ると、そこには一つの傾向が見えてくる。具体例を挙げると、2006年に、日本テレビの音楽バラエティー番組「ウタワラ」が、児童の性を商品化しているとして問題になった。小学生以下の女子を対象とした、「チビっ子エロかわダンス選手権」という企画だ。この内容を非難する見解を出したBPOの対応は、当時それなりに評価された。

写真 ※クリックで拡大

しかし、この組織を構成するメンバーに着目するならば、そうした非難がどのような文脈でなされているのかということを慎重に検討するべきであることが分かる。

まず、上記委員会の委員長である、お茶の水女子大学名誉教授の本田和子氏は、「男女共同参画」の中心的な人物の一人であり、「男女共同参画社会づくり功労者内閣大臣表彰」も受賞した。同大学は、ジェンダーフリーを主張する研究者の本拠地である。委員の一人である恵泉女学園大学教授の大日向雅美氏はフェミニストとして有名であり、お茶の水女子大学の卒業生でもある。文部科学省の「男女共同参画の視点に立った家庭教育に関する調査研究会委員会」座長も務めてきた人物だ。

次に、2007年5月に「放送倫理検証委員会」に変更された「放送番組委員会」の2006年度の委員を見てみると、やはり同じ傾向が確認できる。

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委員長であるコラムニストの天野祐吉氏は、以前から日本の少子化を肯定的に論じ続けてきた人物であり、2001年に行われたシンポジウム「ぜ〜んぶ平等参画! 職場も 家庭も 地域でも」の講師も務めた。副委員長である、フェミニスト弁護士で日弁連人権擁護委員会に所属する田中早苗氏は、「嫌ポルノ権」を提唱して、男女共同参画及びジェンダーフリーの必要性を最も積極的に説く人物の一人だ。委員に名を連ねる石田佐恵子氏も、大阪市立大学でジェンダー研究を行ってきた社会学者である。

このように、特定の視点に基づく主張をする人物が名を連ねた組織が、「人権」の名の下にテレビ番組に介入しているというのが実態だ。今回は詳述できなかったが、斎藤容疑者自身も、各地での男女共同参画関連の企画に何度も呼ばれていて、講師としてジェンダーに関する発言をしている。

ところで、斎藤容疑者のHPを見ると、「家の中でお気に入りの場所は?」という問いに対して、「仕事部屋の机の前」と答えている。

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今回の逮捕時、斎藤容疑者は、「お気に入り」の自宅書斎の机の中にポリ袋入りの乾燥大麻を隠し持っていたというが、ジェンダーフリーならぬモラルフリーを主張するのはご勘弁願いたいところである。



高橋



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