●更新日 06/04●
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『ギャンブル依存 〜勝つための法則〜』後篇





前回のつづき


ギャンブルについて面白い心理学研究がある。

これまでは漠然と「勝った記憶は強く残るのに対し、負けた記憶はすぐに薄れるから」といったことが信じられてきた。ところが研究の結果、むしろ勝った記憶のほうが早く薄れることが明らかになったのだ。ではなぜギャンブルにのめり込む人は賭けをやめられないのだろうか。


その研究で、人は勝ったゲームについては「なぜ勝てたか」をあまり吟味しないのに対し、負けたゲームについては敗因を真剣に見つけようとすることが分かった。そして、勝てた場合は自分の実力と考え、負けた場合にはいくつか理由があると結論づけるのだ。


その結果、負けた時には「負けたゲーム」としてではなく、「あの時点でやめていれば」「あれさえ見落とさなければ」といった自分なりの理由がついた「勝てるはずだったゲーム」として記憶に残るのだ。

つまり、ギャンブラーにとっての勝負の記憶は、「勝ったゲーム」「勝てるはずだったゲーム」の二つになるということだ。


ここから導き出されるのは、
「次のゲームは勝てる」という思い込み
である。


これは株や為替といった投機(これもギャンブルである)で痛い目を見続けている人へのアドバイスにつながる。つまり、損をした原因を探るのは良いとしても、それだけを追及していては勝てるようにはならないということだ。敗因を探るのと同じくらい熱心に、勝てた要因も検討しなければならない。実際に両者を同じくらいの比重で研究することで、勝ちはただのマグレだったということに気づくかもしれないし、負けも単なる偶然に過ぎないということが分かるかもしれない。中には6勝4敗の法則を見つける幸運な人がいるかもしれない。


勝因を敗因と同じくらい真剣に吟味しない人に、勝ち越しはないのだ。


皆さん、ギャンブルはほどほどに。

ギャンブル




ヤブ ヤブ


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