●更新日 10/15●


女子高生探偵 A


前回

ラジカセによる録音を涼子の父親の車の中で行う。
今思えば凄い勇気だ。
だってラジカセってあのラジカセだよ。
再生ボタンと録画ボタンを同時に押すアレ。


あの赤いのと再生ボタンを押すんだよね。

二つのボタンを同時に押すのに、少し指の力がいることを昨日のことのように思い出します。


大胆にもあれを父親の車の助手席の下に仕込んだ。



録音の時のラジカセの音は妙にデカイし、録音が終わった時のボタンの戻る音はもっとデカイ。
それも不安だが、録音できる時間の短さも不安だった。
その時使用したのが90分テープ。




いつ出かけるか分からない父親に90分って無謀ーーーー。
でも私達高校生に出来る精一杯だった。
学校が休みになると、私も涼子の家に朝から行ってラジカセ仕込みを手伝った。
運良く出かける時もあれば、出かけない時もある。
出かけても親父の鼻歌しか録音されてなかったり、母親の声が入っていたりと散々な結果が続いた。
しかし諦めかけた6回目、遂に私達は証拠を掴んだのだ!!

いつも通り録音したテープを月曜日の学校でチェックしていると、なんと女性の声が聞こえてきた。
ウォークマンから聞こえてきた「お待たせ〜」という女性の声に、二人とも目玉が飛び出るくらい驚いた。
浮気してるかも・・・なんて言っても、二人とも半分以上は信じてなかったし、実際父親が浮気してるなんて気持ち悪くて仕方がない。自分の父親と重ねたら吐きそうになるぐらいだ。
でも本当に女性の声が録音されていた。
ラジカセ録音が遊びじゃなくなった瞬間だ。

涼子は眉根を寄せて床を睨みながらテープを聴いている。
涼子の父親の「今日はドコに行きたいの?」の後に「今日はね〜・・・」


ブチッ。


テープが終わった。
よくある話だ。

しかし、我々にしてみれば十分な証拠だった。
私と涼子は目を合わせてお互いが言い出すのを待っていた。
私達には最初の「お待たせ〜」だけで十分だった。
なぜならその声は明らかにマユカの声だったから。

マユカだよん。



大昔は女子高生



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