●更新日 10/04●
ミステリーショッパーの事件簿(1)
ミステリーショッパーをご存知だろうか。
ミステリーショッパーとは覆面調査員のことで一般客と同じように店内に入り、商品の品質、接客態度などを調査する仕事。報酬として謝礼が出るので登録しておくと得することもある。
僕の友人も副業としてミステリーショッパーの仕事をしていた。
彼女の名前は京子。中小企業に勤めるキャリアウーマンだが、副業としてミステリーショッパーをしている。そんな彼女からある日電話がかかってきた。
「ちょっと聞いてよ!今日買ったばかりのカルティエのリングがなくなっちゃったの!!」
甲高い声で怒る京子。
何があったのか事情を訊くと、今日ミステリーショッパーとして行った高級レストランで、テーブルにカルティエのリングが入った袋を置き忘れていったそうだ。
店を出て30分後に気づき、慌ててレストランに戻ったものの、店員に訊いてもテーブルの上にはカルティエの袋はなかったと一点張り。
「すごく高かったんだよアレ!本当最悪だよ!絶対誰か盗んだんだよ!」
京子の怒りはおさまらない。
話を聞いているうちに彼女を気の毒に思った僕は、明日同じ店に行こうと彼女を誘った。
ミステリーショッパーが調査している店なんだから管理はしっかりしてるはずだ。
それを確かめたかった。
翌晩、彼女に指定された駅で待ち合わせる。
時間も早く着いたのでガラス越しに店内を覗く。ウィンドウに、仕事の忙しさにかまけてぐしゃぐしゃになった髪の僕が映った。
(長期の張り込みが続くと自分の外見に気を使わなくなるんだよなあ・・・)
「そんなんだから彼女が出来ないのよっ!」
振り向くと京子がいた。まるで僕の考えを見透かしているようだ。
彼女は僕を見て笑うと昨日のレストランへ僕を案内してくれた。
つづく
探偵チャッキー
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