●更新日 11/19●


厚生省元次官襲撃事件・警察識者の見解


厚生省元事務次官の自宅が襲撃された事件で、警察関係者に話を聞いてみた。


埼玉の山口厚生元事務次官宅周辺(左)と中野区の吉原元厚生事務次官宅周辺(右)

先ほども厚生労働省の役人やマスコミと話をしていたところだよ。
情報が錯綜している上に捜査も進んでいないから、今の段階では、はっきりしたことは何もわからない。現在は警察が総力で厚生労働省の役員たちに話を聞き、警戒を呼びかけているところだ。

一番濃厚なのは思想信念に基づく犯行という線だろう。
犯行目的は「厚生労働省への威圧」、「堕落した役人に天誅を」とした右翼の犯行と考えても不自然ではない。

しかし、深読みすればもっと別の線も考えられる。
殺された吉原さんという元次官。この人は、厚生労働省のOB連中のトップ「厚生労働省OBのドン」とでも言うべき立場の人だ。この人が「次の次官は誰がいいだろう?」と御前会議を開き推薦者を出して、次官候補を選出するといわれている。辞めた後でも厚生労働省内に非常に影響力のある人だったんだ。
だから、厚生労働省内部でのポスト争いが絡んでいるのではないかという見方もできる。
まあ、私としては「それはいくらなんでも考えすぎじゃないか?」と思うがね。

犯行形態の分析をしてみようか?
まず、現場がさいたま市周辺であるということ。これはすなわち「警視庁と比べて捜査力の低いところが狙われた」とみることができる。
そして、マンションではなく一戸建ての住人が狙われた。
高級マンションでなく、閑静な住宅街の一軒家。監視カメラもなくオートロックもない。セキュリティ性の低いところが狙われたということだ。
そして、年寄りを狙っている。
若い体力のある現役厚生労働省役員を狙わなかったのはなぜだ? 年寄りなら体力がなく反撃がない。その分、犯行を容易たらしめる。
更に、殺されたのは「元役人」。
現役の役人はこういうご時世だから当然警戒心もある。その点、既に退職した役人なら警戒心も薄いだろう。

こう考えていくと犯人は「役人の名簿を手に入れ」「そのなかから殺害の標的を入念に吟味」「綿密に計画をたて、狙いすました上で」犯行に及んでいるということだ。
ここまでするとなると、真のターゲットは個人ではありえない。
ターゲットは「厚生労働省」。その高官。そのなかで、狙いやすい奴だったら誰でもよかったと考えることができるだろう。

最初に言った通り、今は情報が錯綜していてはっきりしたことは言えないが、今のところ考えられるのはそういったところだ。



九坪



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