美人女性には気をつけろ（後半）

〜前回〜


探偵もこれからは英語力を身につけなければ･･･と思っていた矢先、美人の女性に英会話講習の説明会を勧められ、ついていった私だったのだが･･･


女性に連れられて来てしまった説明会場。
いまさら引き返すわけにもいかないのと、こういった強引な勧誘に乗るとどういった事が待ち受けているのだろうか、といった興味心が私をくすぐった。

私は説明会場の扉を開いた。
すると先には、数名の男性と、女性スタッフがそれに伴い待ち受けていた。



（やはりあの美人につられて来た人もいるんだろうなあ）

まわりを眺めていると、一人の女性が声をかけてきた。
黒縁の眼鏡が良く似合う女性だった。



個室に通され、英語が喋れるようになったらどんなに素晴らしいか、世界が広がるかなどを話す。
いつのまにか私はその女性の穏やかで上品な話し方に聞き入っていた。
途中、金額が気になり話をしてみたが、なぜかそこは曖昧にされる。
次に女性は、この会社は学研が100％出資しているから安心という点、
教師が１人に対して生徒は２人でサポートもしっかりしている、などという会社の素晴らしさを話し始めた。

２時間以上説明を聞いたころだろうか、ようやく金額の話をしてきた。
女性はさらりと「大体３０万から５０万円程度です」と言った。
無論、そんな大金を支払ってまで英語を勉強する気はない。
「今すぐ英語を話せるようになりたいわけではないので今回は結構です」と丁重に断ると、追い討ちをかけるように
「ローンを組めば月々３千円程度のお支払いで大丈夫ですよ！」としつこく勧誘。

それでも完全に断ると、
「あなたは必ず後悔します！」
「これはあなたのタメになることなんです！」
「あなたともっと仲良くなりたいんです！」
と脅しなんだか思わせぶりのようなことまで次々に言ってきたのだ。

最後まで断り続けると女性はあきらめたのか不機嫌になり、「もう帰ってください」と私を追いやった。



それは初めに話をしていたときの女性の表情や態度とはまるで別人であった。

ビルの外に出るとあたりは薄暗くなっていた。３時間以上は話を聞いていたのではないだろうか。
私はこのときに思った。

（美人女性の勧誘には気をつけろ！）

探偵も美人には弱い。



探偵Ｔ村