●更新日 09/02●


女探偵の勝負服 (前編)


夏の時期の張り込みが究極のダイエット方法だということに気づいたのはある夏の日のことです。
張り込みが長時間になると甘い物が欲しくなってついついお菓子を食べてしまうのが私のいつものパターンでした。
お腹についたお肉を見ながら「これじゃ水着が着れないな〜」なんて海に行く予定もないのに考えたりしたものです。



8月も終わりに近づき暑さも落ち着いてきた日のことでした。
その日私が担当した調査は対象者の自宅を張り込み、出入りする人物を撮影するという内容のものでした。内容を聞いた時点で充分一人でこなせる調査だと思った為、私は意気揚々と現場に出掛けました。

しかし、調査現場を確認すると易々と張り込める位置が見つかりませんでした。
そして数時間張り込めそうな場所を見つけた時には調査開始まであと10分になっていました。私は大慌てで調査車輌を移動させました。

調査を開始してから30分ほど経過した頃でしょうか。私はこの調査が辛いものになるんじゃないかと思い始めていました。


その理由は暑さです。


夏の終わりの時期でしたが、その日に限って真夏に逆戻りしたかのような太陽の日差しが容赦なく照りつけていました。
朝10時からの調査でしたが既に身体が汗ばんできていました。車内での張り込みの場合にはエンジンを掛けていた方が自然な場所とそうでない場所があります。
今の状況は残念ながら後者です。エンジンをかけられないということは当然エアコンもつけられません。



現場周辺は住宅街の為、窓を開けたら車内が丸見えです。外からの風さえも入れることが出来ない状況にありました。時間の経過と共に温度が上がっていく車内の暑さに耐えながら張り込みを続けるしかありませんでした。

しかし、私は普通の人間です。限界があります。暑さを紛らわせる為のうちわは気休め程度にしかなりませんでした。
ただこの調査に入る前に「一人で出来ます!」と大見栄を切った以上、失敗をするわけにはいきませんでした。

(・・・とりあえず靴と靴下脱ごう)

私は少しでも涼しくなるようにスニーカーと靴下を脱ぎました。すると・・・、



「う〜ん、爽快!」

たったそれだけで思わず叫んでしまいたくなるほど爽快な気分になりました。

(これなら大丈夫!)

そう思ってから数分後、再び暑さ地獄が始まりました。



つづく



名古屋の探偵マリ



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