●更新日 04/07●


ストーカー対策(中篇)


まず、私達は彼女にふたつの指示を出した。
ひとつは「無言電話の録音」。もうひとつは「着信日時の記録」



これらは警察への届出を、より確実なものにするためだ。

ただ「無言電話が多くて困っている」というだけでは警察に届けても効果的な対応は望めない。
警察に本気で対応してもらうためには、被害状況を詳しく、正確に伝える必要がある。

とはいえ、この段階では警察も本格的には動くまい。
せいぜい被害者の自宅周辺の見回りを強化する程度だ。
ストーカーの氏名・住所を特定し、なおかつ、確かな証拠を掴まない限り、警察の積極的な協力は得られないだろう。

私達は彼女のマンションに隠しカメラを設置。不審者の確認を行うことにする。


それと同時に、彼女の携帯に着信する電話番号を調査する。
しかし、これは空振りに終わった。
相手の電話はまだ身分証明の必要がなかったプリペイド式携帯電話からのものだった。


これでは電話番号から犯人を特定することはできない。

一方で、彼女の部屋に盗聴器が仕掛けられている可能性を考え、盗聴電波の探査を行う。

結果は「シロ」。
盗聴器やそれに類する電波は探知されなかった。
設置しておいた隠しカメラにも、いまだ不審な人物は映っていない。

不審者なし。
電話はプリペイド携帯。
盗聴器もなし。


手がかりがない。
犯人はどこの誰なのか? どうやって彼女の電話番号を調べているのか?

一つの仮定のもとに彼女に質問してみる。
「先月の携帯電話の料金はいくらでした?」
返答は、
「銀行の通帳を見ないとわかりません。」
案の定、電話料金は銀行引き落とし。


そして、彼女には電話会社から郵送される明細書を見る習慣がなかった。

念のため、手元にある最近届いた郵便物を調べてもらう。
結果は予想通りだった。
彼女の元には数々の郵便物が届けられているが、携帯電話料金の明細書だけが届いていない。
どうやら断定してよさそうだ。


犯人は郵便物を不正入手して彼女の携帯番号を追跡している。


つづく



チープ彦坂



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