女探偵：夕美の推理

ＲＲＲＲＲＲ……

ある日。事務所の電話が鳴る。
受話器をとったのは、当社の女探偵：夕美。


「はい。ガルエージェンシーでございます。」
「…………」
（ガチャ　ツーツーツー）


切れた。

人間はこういう時、物事を都合の良い方に考える。
夕美の推理はこうだ。

「きっと、相談しようと電話をかけたら、誰かが帰ってきたのでしょうね。」

（まあ、そんなタイミングもありかな？）
一先ず、納得する。


・・・・・・・数分後・・・・・・・

ＲＲＲＲＲＲ……

「はい。ガルエージェンシーでございます」
「…………」
「もしもし。もしもし？」
「…………」
（ガチャ　ツーツーツー）


切れた。

人間はこういう時、物事を都合の良い方に考える。

＜夕美の推理＞
「きっと、携帯の電波が悪かったんでしょうね。」

（まあ、そんな事もありかな？）
二先ず、納得。


・・・・・・・数分後・・・・・・・


ＲＲＲＲＲＲ……

「はい。ガルエージェンシーでございます。」
「はあ……はあ……」
「もしもし。もしもし？」
「はあ、はあ、はあ、はあはあはあはああはああはあああはああああ」
（ガチャ　ツーツーツー）


切れた。

人間はこういう時、物事を都合の良い方に考える。

＜夕美の推理＞
「きっと、走りながら電話かけているのでしょうね。」

（まあ、そんな事もありかな？）
三先ず、納得。


・・・・・・・数分後・・・・・・・


ＲＲＲＲＲＲ……

「はい。ガルエージェンシーでございます。」
「うっ……うっ……」
「もしもし。もしもし？」
「うっ……うっ……うう……うううううううううううう」
（ガチャ。ツーツーツー）


切れた。

人間はこういう時、物事を都合の良い方に考える

＜夕美の推理＞
「きっと、お腹が痛いんでしょうね。」

（まあ、そんな事もありかな？）





……ねーよ。

イタズラだろう。あきらかに！

＜夕美の推理＞
「電話をかけようとしたら誰かが帰ってきたから、しかたなく外で電話をしたけど電波が悪くて、電波のいい場所を探して走りながら電話してたら、お腹が痛くなっちゃったんですね。
きっと。」



「運の悪い人ですね。」

ここまで前向きに考えられれば、大したものである。



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