●更新日 03/04●
探偵アンラッキーデイズ(4)
張り込み中に酒臭い酔っ払い二人に絡まれ、
だるだる腹で上半身裸の変態に言いたいことを言われ、
警察に見捨てられ、
ターゲットと相棒においていかれ、
上司からの連絡を勝手に切られ、
携帯電話を取り上げられてしまった。
今日は厄日だ。アンラッキーデイだ。
まだ早朝だというのになんてことだ。さすがに途方に暮れる。
しかし、このアンラッキーは唐突に終わりを告げることとなった。
ダルダル君が、路上で眠り始めたのだ。
イメージ的にはこんな感じ。
緊張の糸が切れたのだろうか?
ツレ夫君が「おい、寝るなら帰ろうぜ。」というと、「うん。」と可愛く返事をし、二人は近くに停めてあった車に乗って去っていった。
走り去る車のナンバーを控え、急いで携帯電話で上司と相棒に連絡をとる。(私は携帯電話を2つ常備している。)
どうやら、尾行のほうはうまくいっているようだ。相棒にまかせておいて大丈夫だろう。
こちらは取り上げられた携帯電話を取り返さなければならない。
盗難届けを出しに警察へ向った。
さて、改めて言わせてもらおう。
警察は何の役にもたちません。
警察署の窓口で事情を説明。二人が乗っていった車のナンバーも伝えるが「まあ、まあ」「落ち着いて」「ちょっと待って」を繰り返すばかりで、全然、まともに相手をしてくれない。
穏便に済ませたいのか。
事件を件数を減らしたいのか。
それとも単にめんどうくさいのか。
役に立たないにもほどがあるだろう。おい。
イライライライライライラしながら待っていると、連絡を受けた私の上司が警察に到着した。
今度は上司が私の説明を聞き、警察と話をする。
途端に、警察の対応が一変。盗難事件は慌しく動き出した。
なんなんだこの対応の違いは? さすが上司ということか?
ともあれ、ダルダル君たちの車のナンバーはしっかり控えていたので、すぐにその身元が判明。
某派遣会社の社員だった。
(「なんなら事務所にくるか?」と言われた時、行けばよかったかな?)
連絡をとると、すぐにその会社の社長がすぐにやってきた。
社長は取り返した携帯電話と茶菓子を差し出し、丁寧に謝罪してくれた。
ま、ここまではしなかったけどね。
でも、その社長が悪いわけでは無い。
むしろ、問題社員の後始末をしなければならない気の毒な社長さんなのだ。
なんだか、切なくなってくる。
そうして、盗難届けを取り下げ、私はようやく調査に出発することができた。
やっと、ふりだしである。
(せめて、本題の調査はスムーズに運べばいいんだけど……)
そう願う私であったのだが、やっぱり今日は厄日であることを後に思い知ることになる。
続く
豊田の探偵
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