●更新日 02/17●


結局、終わり良ければ……2




対象者の車両は発見した訳ではあるが、今度は誰とどこにいるのかを突き止めなければならない。
何か手掛かりになる様な物はないかと、対象者の車を覗き込みながら1周、ふと違和感を感じて運転席の窓に手を伸ばす。


私の手は窓に遮られる事なくそのまま車内に・・・なんと運転席の窓が全開になっていた。
これを使わない手はない。
さっそく付近の居酒屋に行き、店員にこう言う。
「△△―△△(ナンバー)の○○○○(車種)に乗ってるお客さん来てませんか?」
これだけで後は店員が勝手に調べてくれるし、対象者がいれば自ら名乗り出てくれる。
店内を1周して対象者を捜す必要もないし、間違ったふりして個室の扉を開ける必要もない。
めっちゃ楽(笑)
もし理由を聞かれたら窓が開いてる事を伝えればいい。
本当の事だし、何ら引け目を感じる事もない。

今度は運よく2件目でヒット、勤務先からぞろぞろ出てきた面々の中に、対象者の姿を確認する。
窓が開けっ放しになっている事を伝えると、「ちょっとー、しっかりしてよね」と言いながら、1人の男性に鍵を手渡す。


対象者と一緒に勤務先から出てきて、1人自分の車で移動した男性だった。
考えてみると、この男性の車は駐車場になかった。
対象者の言動からは、対象者の車を運転していたのがこの男性だったことが窺われる。
つまり、この男性は一度自分の家に自分の車を置き、対象者の車でここまで来た可能性が高い事になる。
なるほど、空白の時間の謎が少し解ける。

何はともあれ、対象者が会社の飲み会に参加している事実、その場所、人数等が判明、調査を続行させる事が出来た。

これを読んでる方は
「初動でミスしなければこんな面倒な事しなくて済んだじゃねーか。」
と思うかも知れない。
確かにその通り、何の言葉もない。


だが、探偵もスーパーマンではない、ただの人間だ。
完璧な人間なんていないし、誰でもミスをする事がある。

つまり何が言いたいかというと、探偵には、ミスを犯した時にそのミスを補い調査を立て直せるだけのリカバリー力も必要だって事。


「おっ。だんだん運が上向いてきたぞ。」



つづく



探偵 チェイサー



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