●更新日 02/01●
男にストーキングされる男2
前回
「誰だ、おまえは一体だれなんだ?」
だが一瞬振り返ったその横顔に見覚えがあった。
勘を働かせて、私は以前に捕らえた賞金首のファイルを洗ってみた。
そこにつけまわして来る不審な男の顔写真が確かにあったのだ。
ベック・サンダンス(34歳)、車の窃盗容疑でベイルボンズから3000ドルの懸賞金が懸けられ、私が逮捕した犯人である。
刑務所にブチ込まれた恨みから私を狙っているのか。
正体が判明してからというもの、より一層の警戒をする事にした。
そして逆に先回りしてサンダンスの自宅を張り込んで様子を窺った。
しかしサンダンスに動きはなく苛立つ日々が続いた。
つけまわして来るだけではこちらも行動に出るわけにはいかない。
手を出してくればそのときは反撃しようがある。
のちに数回に亘り監視の殺気を感じたが、何故かある日にピタリと止まった。
あとで判ったのだがサンダンスは車の窃盗で再びLA市警に逮捕されていた。
その際に家宅捜索した結果、高性能狙撃ライフルが押収されたのである。
それを聞いて背筋がゾッとした。
その銃火器のスコープ照準でもしも長距離から捕捉されたら年貢の収め時である。
いつどこからやられても防御のしようがない。
高度な銃社会大国アメリカの怖さに驚愕したひとときであった。
だがその世界で生き抜いていくわけだから腹を括るしかない。
恐怖心に打ち勝ってこそ真の勝者になれるのだ。
プロの道は険しい。
それに、逆に尾行される気持ち悪さを感じた一件だった。
ガル探偵学校
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