●更新日 02/25●

あっけない結末にとまどう


「パパ最近いい匂いして帰って来るよね」


10歳の娘の言葉をきっかけに夫の浮気を疑いだした妻。夫の隙をみて財布や手帳、携帯を調べたが特に怪しい形跡はない。そこで、悩んだ末に私の所へ相談しにやって来た。

夫は税理士事務所に勤務。たまに同僚と居酒屋で飲むぐらいで、ほとんど毎日決まった時間に帰ってくる。小遣いは一日千円。一見よく出来た夫のようだが、妻は匂いがどうしても気になるらしい。

私はとりあえず二日間の調査を引き受けた。

一日目、夫の退社から帰宅までを尾行。


女探偵ノゾミ
夫が会社を出たのが午後八時。電車に乗って自宅近くの駅で下車。
駅から自宅までは徒歩十五分。このまま歩いて帰るのかなと思ったら、駅前の駐輪所から自転車に乗ってものすごいスピードで走り出した。
そんな話聞いてなかった私は慌ててタクシーを捕まえ後を追った。

夫は白いアパートの201号室に入っていった。その部屋のポストを確認すると、なんとポストには夫のフルネーム…。
しばらくすると、その部屋に三十代前半の女性が入った。

約一時間後、夫は女性を部屋に残して帰宅。

二日目、昼間はアパートを調査、夜は夫を尾行。


女探偵ノゾミ
結果、夫は三年前からそのアパートで女性と密会していたことが解った。女性は三十三歳、独身の銀行員。仕事で接点があり、昼も会社で会うことがあった。

「信じられない。三年も前からなんて…」
妻に報告すると、かなり動揺しながら、「アパートに入る夫をこの目で見たい」と言ってきた。
このままでは修羅場になることは確実なので、夫を呼び出して話し合うよう説得して、同席することにした。

単刀直入に夫に問いただすと、「すまん、実はその女性と二人で独立を考えていた。浮気じゃない、もっと収入を増やして君に楽させたくて」と頭を下げた。
すると、妻はあっけなく許した。

変だなぁ、娘の「いい匂い」はなんだったのか?
まぁ依頼者が納得なら別にいいのだが…。私はよくわからないまま席を立った。

数日後、依頼者からその後の報告があった。
「実は、私かなり使い込んでて、サラ金からもお金を借りてるの。税理士って結構信用があって、お金もスムーズに借りれるのよ。夫が相手に貢がせてたら許せないけど、貢がせてたみたいだからいいのよ」と笑った。

うーん、お金も大事だけど…。
「結婚ってなんなんだろう」そんなことを考えさせられた調査であった。



女探偵ノゾミ


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