●更新日 04/14●
監視カメラに写った自殺の瞬間
最近アメリカであるビデオが話題になりました。
ビデオのタイトルは"The Self-Cleansing Housing Projects(自己浄化の公営団地)" 。
舞台はある団地のエレベーターの前。黒人の男女が開いたドアの前に立っている。女性の方は泣いているのか涙を拭うような仕草をして男性にキスをし、暫く抱き合った後、エレベーターの中へ消えて行く。残された男性は、懐から取り出した拳銃を口にくわえ、引き金を……。
ニューヨークヤンキースの本拠地・ブロンクスに住む男性が自殺する瞬間を捉えた、衝撃的な映像です。
▲ABC news 7のビデオより。ニュースでは銃を咥えている所までしか流されなかったが、オリジナルは頭が吹き飛ぶ場面まであった。
自殺の直接的な原因は、やはり女性との交際がうまくいってなかったことのようです。それ以外にも、彼がまだ幼いうちに父親をエイズで亡くしたこと、麻薬中毒だった母親と離れて過ごさなければならなかったこと、そしてその母親もエイズで死んだことなど、彼の過酷な過去を伝えるマスコミもあります。
このビデオはある投稿型のハードコアポルノサイトに掲載された直後から、「本物か?」と話題になり、冒頭で紹介したABCテレビの他にNew York Timesなどにも取り上げられました(オリジナルのビデオは現在公開を停止しています。)
問題となったのが、この映像の出所。実は、犯罪防止のためにニューヨーク市警が設置した監視カメラの記録が流出したものだったのです。本来、自殺の証拠として厳重に保管されているはずのビデオがどうして流出したのでしょうか?マスコミなどからの批判を受け、このビデオを掲載したポルノサイトの明かした流出の経緯は、以下のようなものでした。
ニューヨーク市警の警官が、冗談半分で元同僚にメールに添付して送信する。
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それを見た警官の元同僚は、団地のような一般生活の場にも監視カメラが置かれている事実に驚き、彼が主催する市民運動団体のメンバーにこのビデオを送る。
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そのメンバーの一人の黒人人権運動家はこれを見て、『“黒人は貧しく、絶望的ですぐに自殺に走る”と黒人を貶めるために捏造されたものだ』と勘違いし、友人らに警告のメッセージを添えて送信する。
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そのうちの一通が誤って牧師の所に送られる。牧師は即座に削除したのだが、その息子がそのファイルを見つけ、件のポルノサイトへ投稿する。
これがどこまで信用できるかはわかりませんが、様々な人達の思惑が交わることによって、このビデオが公開されたことは確かです。
監視カメラによるプライバシーの漏洩、ネットコミュニティの在り方、人が死ぬ様を見て興奮する人がいるという事実……。色々なことについて考えさせられる事件です。
日本でも街頭監視カメラの設置が進んでいますが、同じような事件が起きないとは限りません。
探偵ファイル・千明
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