●更新日 08/19●

友人の事故


私が大学生の時、友人Sがバイク事故に遭った。

夜道を走っていた時に、飛び出してきた子供を避けるために急ハンドルを切り、ガードレールに突っ込んだのだ。

写真

2日間意識が戻らず危険な状態だったが、1週間後にはなんとか歩けるまでに回復した。

退院したSの顔は、まだ全体が赤く腫れ上がっていた。

『俺また事故ったわ、これでもう3回目やわ・・・』

彼は毎年のように事故を起こしていた。
それもなぜか、毎年10月に・・・

写真


数週間後のこと。

彼の母親が経営する理容室に、変わった客が来た。 その客は突然『息子さんがいますよね?』と聞いてきたのだ。



『息子さん、病気とか事故とかしてませんか?』


「はい、バイクの事故を起こしたばかりですが・・・」

  ・

  ・

  ・


『また事故に遭いますよ』







その客の話によると、Sの左足に女性が一人、背中に数体の動物霊が憑いているという。

しかも左足に憑いている女性の霊は、10月に亡くなったのだそうだ。

Sが毎年事故に遭う10月に・・・

写真

それを聞いたSは半信半疑だったのだが、念のためその客に紹介してもらったお寺に行き、
塩で体を揉んだり、炎の前でお経を唱えるなど、除霊の儀式を行った。


そのおかげか、

あれから3年が経つが、Sは事故に遭うこと無く生活している。

写真

今思い返すと、確かにSは、取り憑かれてもしょうがないようなことをしていた。
地元の仲間と一緒に、暇があれば心霊スポットへ遊びに行っていたのだ。

しかし私はSを責めることはできない。実は私もその遊び仲間の一人だったのだから・・・



Sは、私に時々電話をくれる。
あの時の客が、私が写っている写真を見て『この人は危ないから一度連れて来い』と言っているらしい。
一緒に心霊スポットで遊び回っていたときにやはり何かを拾って来てしまったようだ・・・

行こう行こうと思ってはいるのだが、私はなぜか誘いを断ってしまう。

私の中に居る霊達が嫌がって、私に除霊を断らせている、というのは考え過ぎだろうか・・・



多田


探偵ファイルのトップへ戻る

前の記事
今月のインデックス
次の記事