●更新日 06/27●


「生活保護費、月27万円は不足」訴訟記事に非難続出


生活保護をめぐる訴訟について扱った記事が、大きな注目を集めた。

当該の記事は中日新聞に掲載されたもので、画像がネット上に出回った。2ちゃんねるにもスレッドが立ち、大騒ぎになった。だが、この記事は実は2008年12月に掲載されたものだ。記事中に「二十四日にはクリスマスケーキを買い「明日勝てますように」と、子どもたちと願いを込めた」とあることからも分かる。

話題になったのは、次の一文だ。「月約二十七万円の保護費の一割を占めた母子加算が年々削られ、来年度から廃止される」。二男二女を育ててきたが、食費、衣服代、教育費は保護費だけでは足りず、年三回の児童扶養手当が頼みの綱だったという。「おかずは一品。子どもたちを満腹にさせられない」という。


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記事に対して、月に27万円も生活保護費をもらっているくせに贅沢だという非難の声が続出した。本人は病気だとしても、20代の子供がなぜ働かないのかという疑問も。真面目に1ヶ月働いても10万円台しかもらえないという自身の境遇を嘆き、生活保護という制度に疑問を呈する書き込みも多く見られる。日本に住む脱北者が月に17万円もらっているというキャプチャー画像等もアップされ、話題になった。


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この件については、昨年12月25日の朝日新聞に詳細な記述がある。「02年から受給してきた毎月の生活保護費はいま、母子加算などが減額される直前の04年と比べて約5万円少ない手取り約21万円。2万6040円だった母子加算は8360円になった」、「家賃と光熱費などを払うと手元に残るのは約10万円。やりくりしているが、保護費が振り込まれる毎月3日を前に、生活費が底をつくことが多い」。

「減額後、小学5年の次男(11)に「サッカーを習いたい」とせがまれたが、通わせられなかった」との記述もある。朝日新聞では別の事例も挙げ、「憲法が保障する「健康で文化的な最低限度の生活を」と訴えた、独り暮らしのお年寄りや母子家庭の思いは通じなかった」と批判的な論調で記事を書いている。

全国生活保護裁判連絡会が発行する「生保裁判連ニュース」第29号(2006年4月)にも、この女性のコメントがある。「米だけでも月15キロ必要。服も買えない。許せない気持ちで訴えた」という。訴訟でもネット上の反応でも、どこまでを生活保護の対象と見なすかということが、一つの争点だ。


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「最低限度の生活」とは、一体何なのだろうか。



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