●更新日 10/12●


早稲田大学で情報漏洩、大学院入試の実態とは


早稲田大学で大学院の入試問題に関する情報の漏洩が発覚した。探偵ファイルが大学関係者に取材してみたところ、同様の問題は他大学でも少なくないようだ。

2007年10月10日の毎日新聞によると、早稲田大学商学部の坂野友昭教授は2005年度に、大学院の入試問題の作成者をゼミの学生に教えていたという。

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出題者に関する情報は、当該の情報を獲得した受験生が問題の傾向を推測できることで不公平が生じるため、漏洩は固く禁じられている。大学は調査委員会を設置して事情聴取を行っており、坂野教授を処分する予定だという。

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人文・社会系の大学関係者に話を聞いたところ、今回発覚したのは氷山の一角に過ぎないのではないかとのこと。以下は、電話取材によって得られた情報の要約である。

大学院入試に関する情報の管理の徹底度は、大学によって大きく異なるという。公正な情報管理が徹底されている大学が存在する一方、そうでない大学では、たとえ故意によるものではないとしても、教授がうっかり学生に情報を漏らしてしまうこともあるそうだ。例えば、「今年の○○(科目名)の試験の問題がまだできていなくて、○○先生は大慌てで作っているよ」という具合である。こういう場合、教授は意図的に情報を流しているわけではないのだが、話を聞いたゼミの学生が仲間や後輩に話すことで、結果として受験生に知れ渡ってしまうというわけだ。

より悪質なのは、出題者の教授が意図的に情報を流す場合である。例えば、自分のゼミに所属する学生に対して、「このあたりを勉強しておくといいことがある」などと述べたり、そこまで直接的でなくても、「過去問を解いておくと役に立ちますよ」と助言したり、ということがあるという。過去問を解いておくとよいというのは、大学院入試は学部入試と比べて問題作成で手抜きをする場合が多いからだ。つまり、年度ごとに問題を変えない大学が珍しくないという。ひどい大学になると、関係者が知り得ている限りで、少なくともここ6年間は同じ問題が出されている大学があるそうだ。

そのような大学の場合、当然のことながら、先輩から後輩に様々な情報が流れている。そうなると、学内からの受験生は、外部からの受験生と比べてより多くの情報を持っているので、かなり有利である。さらには、内部からの受験生に対しては、面接試験で当該の生徒がよく知っている教授が担当者になることが多いという。お互いによく知っているので、それほど批判的な内容の質問は出にくいため、その点でも有利であるとのこと。

また、大学院入試には、出題ミスが発覚しにくいという問題もある。学部入試の場合、出題ミスは公表されて新聞等に掲載されることも多いが、大学院の場合は揉み消されることも珍しくないそうだ。例えば、出題ミスについて受験生から指摘があった場合に、その情報を受け取った人物が揉み消してしまい、会議の話題に上らないこともあるのだという。会議で話題に出ても、出題ミスの箇所は受験生全員に加点する一方、ミスについては公表されないままになることもある。

このように、大学院入試には様々なグレーゾーンがあるようだ。ちなみに、毎日新聞の記事によると、先述の坂野教授は「グレーゾーン金利」の撤廃について否定的な主張を続けてきた人物だという。その割に、自身の行動はグレーゾーンだらけだったということか。現在では閲覧できなくなっている教授のHPのゼミ学生掲示板にある「もう・・・どないしよう・・・」という言葉は、情報漏洩発覚でお先真っ暗な教授の魂の叫びに見えなくもない。

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高橋



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