●更新日 09/03●


読売新聞が報じなかった卒論代行業者の正体


学生の宿題を代行する業者が、最近話題になっている。2007年9月1日の読売新聞には、小中学生の夏休みの宿題代行業者についての記事が掲載され、大きな反響を呼んだ。

読売新聞では8月18日にも、大学の卒業論文や各種提出物の執筆を代行する業者についての記事が掲載されている。
記事には、「文部科学省は「事実とすれば、到底認められない行為」としている」、「ネット検索大手のグーグルも、「こうした代行は不正行為にあたる」と判断、代行業者のネット上の広告掲載を禁止する措置に踏み切った」とある。
読売新聞は代行業者について、記事中では匿名で掲載した。ところが、業者の一つは自分たちの行為は正当だと主張し、読売の取材を受けたことも明言している。
その業者とは、「インディペンデンス有限責任事業組合」が運営する「Web Teacher」。

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Web TeacherのHPには、「大学が教育に値する指導を行なっていないため、卒業論文やレポートをこなすだけの能力を備えていないというお客様が大半でした」とある。
さらには具体例を挙げ、「例えば、中央大学法学部通信科は弊社にもたくさんお得意様を輩出している大学ですが、年間8万円の授業料で学位を投げ売りしている大学です」、「このような大学の学位のもつ社会的価値というものはそれに値するだけ希薄化されるべきであると思いますし、今後、実際にそのようになるのではないかと思います」と述べている。

読売新聞の取材も受けた京都府立大学の川瀬貴也准教授は過去に自身のブログにて、Web Teacherを名指しで強く非難している。
「取って付けたように「我々は教育者として配慮していますよ」という態度をとっているのが却って醜い。こういう事は極力言いたくはないけど、東大OBとして死ぬほど恥ずかしいです」、「これは明々白々に「犯罪」ですよ。試験で言うと、受験票や学生証の写真を入れ替えて、代わりに受けてもらうのと一緒。もし、こういうサイトの利用が発覚したら、単位剥奪は生ぬるい、僕は退学に値すると思います」。

Web Teacherのスタッフは、東京大学大学院の理系の学生が中心だという。
代表者は、古川祐貴という、同大学院を中途退学した人物。ちなみに、代表者の名前が掲載されたページだけ、文字まで全て画像になっている。

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web上で検索に引っかかることを防ぐための対策だろう。自分たちの行為の正当性を主張している割には、何か疚しい気持ちでもあるのだろうか。おそらく、副業を勤務先に知られては困るからだろう。
Web Teacherの住所は静岡県浜松市だが、この古川という人物は、同じく浜松市にある「株式会社エリジオン」に勤務している。同社HPには、「2007年入社 東京大学大学院・理学系研究科・地球惑星科学専攻」とある。

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そこで、同社に問い合わせてみた。

――貴社では社員の副業は認めているのですか。
(広報)そういったことは、今まで前例がありませんので・・・。
――副業を認めるとしたら、どんな内容でも問題ないでしょうか。
(広報) いえ。想定していませんでしたが・・・どのような問題でしょうか。

今回の件について全く知らない様子なので、大学の卒論等の代行執筆業を副業にしている社員がいるということを説明すると、広報担当者は「全く知りませんでした。今後の対応については詳細を確認でき次第、これから話し合っていきたいと思います」と回答した。

バレなければ代行業者に依頼するのは個人の自由、という考えもあるかもしれない。だが、不正が発覚したら、処罰は自分で引き受けるしかないだろう。業者はそこまでは代行してくれない。



高橋



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