「スペースシャトルにも採用」

そんなキャッチコピーを心から信じ、オーリーを塗った我が愛車に

ガスバーナーを吹き付けたわたくしｂｏｂ。


今現在、私の脳裏には馬鹿愚かという単語が駆け巡り、そして

「探偵軍団」というイマイチ存在意義がわからない軍団に

入ってしまった事を心の底から悔やんでいる。


それは何故か。

次の写真を見ていただきたい

3時間前	現在

街を歩いている小学生が見ても、ワックスごときで復旧不可能と

わかるほどに焦げている。いや、溶けている。私の魂のソウルは

完全に燃え尽きた。



この燃え尽きたソウルは、私の敬愛するボブ・マレーでも再度滾ら

せることは不可能であろう。それ以前に「魂のソウル」なんていう

全面的に間違った日本語が脳裏を過ぎっている時点で動揺しまくり

と言っても過言ではない。

というよりも、動揺を隠せない筈が無い。

何故、リアボンネットの上に卵が落とされているのだ？

全く持ってわからない。


そもそも、この世のどこに


ワックス塗って


車のリアボンネットに火をつけて


卵が落とされ目玉焼き


などというシチュエーションが存在するのだろうか。

また、私のやっている事は探偵という職業と一切関係ないと思う。

だが、私は大人であり探偵でもある。他の人間より忍耐強く、そし

て探偵という職業をやっている事から堪忍袋の緒は切れにくい。






ゴォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

お前、何やってんだよ。山木。

ガスバーナーで楽しそうに目玉焼きを焼く山木。

既にオーリーのテストというモノから、完全にガスバーナーで目玉

焼きを作るという行為に目的が移行している。


徐々に黄身と白身が固まり焦げついてくる卵。

そしてそれに足並みそろえるように茶色く焦げ付いてゆくスカイラ

インＧＴＳのボンネット。


最悪である。


やってしまった事は仕方が無い。


私と山木はボンネットから目玉焼きを取り除き、近くにあった布で

スカイラインＧＴＳのリアボンネットを力いっぱい擦った、摩擦力

でボンネットが磨り減る程に擦った、20分ほどボンネットを布で擦

りつづけた。


その結果・・・・

やっぱり、こげた

私の耳にはガスバーナーの音がまだ耳鳴りのように残っている。

人生を30年以上生きているが、ここまで長時間ガスバーナーの音を

聞きつづけていたのは今日初めてだ。バナーの音が耳鳴りとして残

っても仕方はない。


私は吸い終えた煙草を灰皿に入れ、無残な姿に変わり果てたＧＴＳ

の前まで歩いていった。