●更新日 10/01●


浮気調査〜その後(3)


A子が犯人ではないのだとしたら、嫌がらせの犯人は誰なのか?



 ・A子は現在幸せな状態なので嫌がらせをする理由がない。
 ・事実、A子はB氏とC子の家には近寄りもしなかった。
 ・調査を行うまでは毎週末、嫌がらせの手紙が投函されていた。
 ・なのに、調査の開始直後から嫌がらせの手紙は届かなくなった。

別段、推理するほどのものでもない。ここまでの事実を並べれば、犯人はおのずと明らかだ。
私たちは、依頼者であるB氏C子にこう伝えた。

「この調査は少々長引きそうです。別の調査も入っているので、今週末の調査は中止させてもらいます。申し訳ありません」

そして週末。私たちは依頼者に無断のまま、B氏とC子の自宅を張り込んだ。その深夜。

(……出た)

B氏が眠ったのを確認してだろうか、そっとC子が自宅から出てきた。
C子は辺りを見回して人気のないことを確認すると、足音を忍ばせて自宅の郵便ポストへ。
そして、手紙を投函すると、そのまま自宅へ戻っていった。



やはり、嫌がらせの手紙を投函していたのは、依頼者であるC子本人だったのだ。
私たちはその一部始終をビデオカメラに収めた。

翌日、私はB氏とC子を呼びだし「これを一緒にご覧になってください」とだけ告げてビデオテープを差し出した。



数日後。B氏から連絡があった。
「C子とよく話し合いました。真相が分かってとても助かりました。本当にありがとうございます」

聞けばC子には予てから「自分が浮気の末にB氏を奪ってしまった」という自責の念があったのだという。
「A子さんに悪いことをした」「自分は悪い女だ」という想いは、いつしか「いや違う。自分のせいだけではない」「B氏にだって責任はある」という心理へと移行し、それが高じて今回の事件に及んだということらしい。

しかし、今回判明した「A子も現在、別の男性と交際している」という事実から、その自責の念も軽くなったらしい。今後、このようなことは一切しないと約束してくれたという。

そして、B氏からは、
「さすが、私を調査した探偵さんですね。A子とは離婚することになっちゃいましたけど、これだけしっかり調査するところなんだから、と思って依頼させてもらったんです。それが正解でした」
との言葉をいただいた。

男女の想念が不思議に絡み合う事件ではあったが、無事解決できた探偵冥利に尽きる事件として、私の記憶に残っている。


ガル探偵学校スタッフ



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