●更新日 05/23●


7つのカギを持つ男


私の先輩は『7つのカギを持つ男』と言われていた。

それは7つの合鍵を女に渡してるってことで、
要は7人の女と付き合ってたってだけなんですけどね。


7つのカギを持つ男 しかし7つって・・・。


今から20年前、携帯電話はおろか、ポケベルもなかったあの頃は自由だった。
それにしたって7人も女がいてどうやってバレずに付き合っているんだろうと不思議に思ってたが、
意外にも特別なことはしておらず、7人全て曜日を振り分けていただけだった。
月曜日の女、火曜日の女、水曜日の女・・・という具合に。
しかし逢うのはもっぱら先輩の部屋。外で逢うならまだしも、部屋に連れ込む7人の女は危険でいっぱいだ。しかし女の子も律儀で決まった曜日以外は先輩の家に遊びに来ることはなかった という。
さすがの本人もこの状態がいつまでも続くとは思っていなかったが、とくに対策をすることなく日々は流れ、1年が経過していた。

始めはそれなりに慎重にコトを進めていた先輩だったが、1年も経てばそんな心がけは遠いどこかに飛んで行ってしう。
「違う曜日に遊びに来ない女が凄いんじゃなくて、遊びに来させない俺が凄いんだ」
などとほざき始める。

しかしそんな邪まな考えに取り付かれた途端、崩壊は訪れた。

仕事が休みだった月曜日。いつもどおり月曜日の女と【先輩の部屋の近くの喫茶店にモーニングを食べに行き、帰りにコンニビニによってお茶を買って帰る 】というパターンをまったりこなしていた。
そして部屋に戻るべく、アパートの階段を上り部屋に入ろうとドアノブを掴んだその瞬間、部屋の中からシカゴの”サタディ・イン・ザ・パーク”が聞こえてきた。


7つのカギを持つ男 ♪さーずでい いんざぱーく♪


なんで?(先輩心の声)


誰もいないハズの部屋からなぜ音楽が聞こえるんだ?
誰もいないハズなのに音楽が聞こえるなんておかしいだろ?
ってことは
部屋に誰かいるってことか?(先輩心の声)


ドアを開けた次の瞬間目の前にいたのは、

木曜日の女。



なんでなん?(先輩心の声)


月曜日と木曜日の女が睨み合う。
既に静かな闘いが始まっている。


ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ(先輩心の声)


7つのカギを持つ男 ノーーーーーーーーーー!!


とりあえずその場を和ませ、二人の女を先ほどの喫茶店に連れて行く。

喫茶店で2時間、先輩は頑張った。
今までにないくらい頑張った。
結果、二人の女は納得した。(ここが凄いよな。普通納得しないだろう)

3人で再び先輩の部屋に向かった。
そして部屋に近づいたところで聞こえてきた。


音楽が。


はっ?(先輩心の声)



今度はマドンナの”ライク・ア・バージン”

7つのカギを持つ男 ♪らいくあばぁぁぁじん♪


火曜日の女だった・・・。


4人は仲良くお部屋でご対面。
1年もの間、重なることがなかった女達はこの日3人重なり、
その日のうちに3人の女が先輩の元を去った。
残りの4人も連鎖反応のように離れていった。
そして先輩の手元には7つのカギが返ってきた。

それからその先輩はその2つの曲が大嫌いになった。



ラブシカゴ



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