●更新日 03/01●
今回はとある既婚女性の浮気調査。 依頼者によれば、旅行の出発日、彼女は早朝に家を出るとのこと。 当然、私達はそれにあわせ、早朝に張り込みをはじめる 早朝のため、あたりの人影はまばら。 そんななか、連れ立ってあるく二人組みの男が目についた。 なぜ目についたかというと、片方の男が、 「はだか??」 最初は肌色のTシャツを着ているのかと思ったのだが、着てない。上半身が裸だ。 それも、筋骨隆々とした肉体というわけではない。どっちかというと、たるんだ肥満体。 はっきり言えば見苦しい裸体だ。 (だるだるの体を晒してはずかしくないのか?) と思い、ついつい見つめてしまう。 どうもそれが気に入らなかったらしい。 そのダルダルの体のお兄さん(仮称:ダルダル君)は、連れのお兄さんと、 「あいつら、いじめっちゃおうか。」などと話しながら近付いてきた。 (・・・やばいかな?)と思ったときには遅かった。 「おい、なに見てんだ!?」 インネンをつけてきた。 顔を寄せてきたダルダル君は、鼻をつまみたくなるほど酒臭い。 しまった。絡まれた。 通常であれば、「逃げる」「戦う」「警察を呼ぶ」「謝る」など、さまざまな選択肢がある。 しかし、間の悪いことに現在、張り込み中である。 「逃げだす」わけにはいかず、 「戦って」騒ぎを起こすわけにもいかず、 「警察を呼んで」注目を集めるのも避けなければならない。 しかたなく最期の選択肢。 「不快な思いをされたなら、すみません。」と謝る。 しかし許してくれない。 ダルダル君は因縁をつけつつ、意味ありげに後ろを向いた。 背中には刺青が入っている。 「俺の背中に守護神様がいるんだ。不動明王だ!」 (なるほど。上半身裸だったのは、これを見せつけたかったからか。) (大切な守護神様なら、もっと大切にすればいいのになぁ) (不動明王様が、背中の肉と一緒にたるんでるじゃないか) とりあえず“おれはヤクザ者なんだぜ!”と言いたいらしい。 しかし、昔ならともかく、いまどき刺青くらいで怖気づくカタギはいない。 私の無反応を怖気と見たのか、ダルダル君はさらに調子にのる。 なんだか意味不明なことを口走りはじめる。 「俺達は武士なんだよ! それを理解してくれよ?!」 (なんだそりゃ) あまりの迷言に、私はうかつにも笑みを浮かべてしまった。 (しまった!)と思ったときにはもう遅い。 「なにを笑ってんだ、てめえ!」 私の笑顔を見たダルダル君はますます激昂してしまう。 「ナメてやがるのか、ああ!? なんなら事務所にくるか? ああ!?」 (ああ……) (やっかいなことになってしまった・・・) 続く 豊田の探偵 |
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