●更新日 03/01●


探偵アンラッキーデイズ(1)


今回はとある既婚女性の浮気調査
彼女の趣味はシュノーケリング

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半年に一回は旅行にでかけ、シュノーケリングを楽しむ。
「その旅行中が怪しい」という夫からの依頼である。

旅行するターゲットを尾行すれば、長期間の調査となる。
大変な調査となるだろうとは覚悟していたが・・・
まさか、ここまで大変になるとは思っていなかった。



依頼者によれば、旅行の出発日、彼女は早朝に家を出るとのこと。
当然、私達はそれにあわせ、早朝に張り込みをはじめる

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早朝のため、あたりの人影はまばら。
そんななか、連れ立ってあるく二人組みの男が目についた。
なぜ目についたかというと、片方の男が、


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「はだか??」

最初は肌色のTシャツを着ているのかと思ったのだが、着てない。上半身が裸だ。
それも、筋骨隆々とした肉体というわけではない。どっちかというと、たるんだ肥満体。
はっきり言えば見苦しい裸体だ。

(だるだるの体を晒してはずかしくないのか?)
と思い、ついつい見つめてしまう。
どうもそれが気に入らなかったらしい。
そのダルダルの体のお兄さん(仮称:ダルダル君)は、連れのお兄さんと、
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「あいつら、いじめっちゃおうか。」などと話しながら近付いてきた。

(・・・やばいかな?)と思ったときには遅かった。


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「おい、なに見てんだ!?」

インネンをつけてきた。
顔を寄せてきたダルダル君は、鼻をつまみたくなるほど酒臭い。

しまった。絡まれた。

通常であれば、「逃げる」「戦う」「警察を呼ぶ」「謝る」など、さまざまな選択肢がある。
しかし、間の悪いことに現在、張り込み中である。

「逃げだす」わけにはいかず、
「戦って」騒ぎを起こすわけにもいかず、
「警察を呼んで」注目を集めるのも避けなければならない。
しかたなく最期の選択肢。

「不快な思いをされたなら、すみません。」と謝る。

しかし許してくれない。
ダルダル君は因縁をつけつつ、意味ありげに後ろを向いた。


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背中には刺青が入っている。

「俺の背中に守護神様がいるんだ。不動明王だ!」

(なるほど。上半身裸だったのは、これを見せつけたかったからか。)
(大切な守護神様なら、もっと大切にすればいいのになぁ)
(不動明王様が、背中の肉と一緒にたるんでるじゃないか)


とりあえず“おれはヤクザ者なんだぜ!”と言いたいらしい。
しかし、昔ならともかく、いまどき刺青くらいで怖気づくカタギはいない。

私の無反応を怖気と見たのか、ダルダル君はさらに調子にのる。
なんだか意味不明なことを口走りはじめる。

「俺達は武士なんだよ! それを理解してくれよ?!」

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(なんだそりゃ)

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あまりの迷言に、私はうかつにも笑みを浮かべてしまった。
(しまった!)と思ったときにはもう遅い。


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「なにを笑ってんだ、てめえ!」

私の笑顔を見たダルダル君はますます激昂してしまう。

「ナメてやがるのか、ああ!? 
 なんなら事務所にくるか? ああ!?」


(ああ……)
(やっかいなことになってしまった・・・)


続く



豊田の探偵



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