●更新日 07/17●

懲りない被告人


裁判傍聴って、かなり自由なんだよね。
もちろん、裁判中に騒いだり大声出したり、なんていう邪魔する行為は許されないけれど、規則は少ないと思う。

一応、事細かにルールはあるんだけど、
服装だって、毎日スカートはいて、傍聴してても注意されないし、
事件とは無関係の第三者なのに傍聴できるってのは、よく考えるとすごいことだ。

で、判事、検事、弁護人、被告人はダメで、傍聴人にだけ許されていることがあるんです。

それは、裁判中の途中入退場OKということ。
傍聴人だけ遅刻、早退が許されてるんですよね、ホント、自由だ。


俺の場合は、裁判をちょっと見て「これは違うな」と思ったら、他の法廷に行って、
写真
また「興味そそらないなぁ」と思えば、他の法廷へ。


蜜を求めて花から花へと舞う蝶のように、法廷サーフィンしてるわけ。


そんな、法廷サーフィンをしていて、
裁判のラスト5分しか傍聴しなかったけど、十分に面白かった公判の話。


罪名は窃盗。


被告人は、60歳前後と思われるスーツ姿のおばあちゃん。


法廷に入ると、終盤も終盤。裁判官からの被告人質問です。

裁判官「さっきからあなたの態度見ていると、反省しているように見えないんですよ。弁護人も同じようなこと言ってたでしょ」

もう、質問というより説教です。

被告人「そうなんです、でもね」

裁判官「でもじゃないんですよ!あなたの置かれている立場分かってます?刑務所に行くか否か、がけっぷちにいるんですよ!!」

こんなに怒られるとはそうとうな悪態をついてたんでしょう。

次は検察官からの求刑。

ここでやっと、事件の内容が明らかになるわけです。

被告人はイトーヨーカドーで万引きをして、逮捕された、と。
写真
警察署での取調べで初犯であること、少額だったこと、反省していることを理由に即釈放。


その際「せめて、被害店舗に詫び状を出しなさい」と言われ、
被告人はイトーヨーカドーに詫び状を書いて持っていくが、
提出した帰りに、その店でまた万引きをしたというのが事件の詳細。




呆れるでしょ?




詫び状出したことを忘れたのか、謝ったからいいでしょって考えだったのか。
反省していないとはこのことでしょう。


裁判は、一ヵ月後の判決期日を決めて閉廷。


この被告人は、身柄を拘留されていないんで、外に出れるんです。
なので、法廷を出た待合室で被告人と弁護人が打ち合わせをしていました。

弁護人「“もう盗まないからいいでしょ”なんて発言ありえませんよ」

と、第一声。打ち合わせというより説教です。

弁護人「次回の判決までに反省文書いて出した方がいいですよ」

被告人「あ、わかりました。あと、聞きたいことがあるんですけど」

弁護人「はい、何ですか?」

被告人「来月、旅行に行く予定なんですけど、大丈夫なんでしょうか?」

開いた口がふさがらないってヤツです。弁護人は真っ赤な顔をして、

弁護人「そんな旅行の予定なんかいつ立てたんですか!さっき裁判官にも言われたでしょ、刑務所に行くかどうかのがけっぷちにいるんですよ!」

と、大激怒。

ここまで反省していないと笑っちゃうね。

ある意味幸せな被告人だなぁ。この裁判は最初から見たかったよ。


法廷サーフィンもほどほどに。


では、今回はこれにて閉廷!



阿曽山大噴火 写真


探偵ファイルのトップへ戻る

前の記事
今月のインデックス
次の記事