●更新日 08/09●
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猫の手も借りたい葬儀屋





その日は朝から火葬が2件控えておりましたので、事務所は段取りに追われていたんです。
そこへたて続けに入ってきた、病院へのお迎えの電話。一人、また一人といなくなってしまいました。

ご依頼が増えて忙しくなり、ピリピリしだす社長。

剥き出しのナイフのようになってきたところへ


「こんちわー。エヘヘー。」


仏壇屋のヤマちゃん(仮名)がやってきまして。

休みの日にあいさつ程度に顔を出しに来ただけだったんですが、


「おおヤマちゃん!ちょっと手伝ってくれんか!」


「は?いや、今日僕は休みでして・・・」


「いいからいいから!!すぐ行って!ね!」


あまりの混乱状況で社長には見えていなかったのか、

ヤマちゃん


ジーパン姿なんですよ。


いくらなんでも葬儀屋がジーパン姿でお葬式はあかんでしょうと思ったんですが

刻一刻と火葬のお時間接近中。もはや考えてる暇はありませんので、仕方なくジーパン姿のおっさんと急いで斎場に向かったんですね。

霊柩車

お葬式は大切な故人との最後のお別れ。厳粛な旅立ちの儀式です。


白い手袋をはめ神妙な顔をしてはいるものの、

やはりそこに立っているのはジーパン姿の太ったおっさん。


遺族の冷ややかな視線が痛い程突き刺さります。


耐えてくれ、ヤマちゃん、とにかく柩を車に乗せるまでの辛抱だ。

お別れを手短かに済ませ、柩を霊柩車に乗せたと同時に、私は斎場を出発しました。


ふう、お疲れヤマちゃん…


恥ずかしかっただろうね。


辛かっただろうね。


やっと解放されたんだよ。


一応ミラーで後ろを確認してみると…


そこには深々と頭を下げて、最後まで合掌しているジーパン姿の太ったおっさんが。



・・・お前何屋だよ。



おくりびと大場 おくりびと大場


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