●更新日 08/14●


シリーズ悪女A 『悪魔のような女』


妻と愛人。
憎しみ合うはずの女二人がタッグを組み、愛する男を罠に嵌める。

そう言えば、昔そんな映画があった。
『悪魔のような女』
映画の女はその名の通り「悪魔のよう」だった。

写真 「悪魔のような女」1955年/フランス

私が現在担当している案件はこの話にとてもよく似ていた。
そんな時、相棒の新聞記者Sが言った。

『以前”妻と愛人が手を組む”という点で似たケースの事件を担当していた先輩の置き土産ノート(通称・黒革の手帳)に調査メモがあるけど読んでみる?』

写真

その事件が起きたのはバブル黎明期。
真冬の1月、佐賀県の星賀港で転落している赤いスカイラインが発見された。
車中の遺体は、車の持ち主である水産会社経営、酒井隆(当時42)と特定。
連絡を受けて二人の女性が現場に駆けつけた。
1人は酒井の妻A。もう1人は酒井の愛人Y。
二人は遺体を確認すると「間違いなく酒井だ」とその場に泣き崩れた。
実は、その遺体は酒井ではなくまったく別人の「替え玉」だった。
赤の他人の遺体を目の前に妻と愛人は名演技をみせ、警察はすっかり騙されていた。
主犯は酒井であったが、後に酒井は自殺をしている。


写真 星賀港


手帳には二人の女が「替え玉殺人計画」を企てた居酒屋スナックにて、当時の様子を聞き込んだ内容が記されていた。

居酒屋のママ、常連客からの情報 (抜粋)
・二人とも見た目がとても地味だった。
・二人は学生時代の同級生のようだった。
・妻の方が酒が強く、酔うと愛人に「ブス!デブ!」と暴言を吐いていた。


妻と愛人の立場でありながら、まるで普通の女友達のようである。
主犯の酒井が自殺という終幕に明らかになっていない事実もあったに違いないが、何よりも不思議なのはやはりこの二人の女だ。 敵なのか味方なのか・・・。

メモの端には酒井は床上手な愛人をより愛していたとの走り書きがあった。
最後の最後で身体で負けた妻が少しだけ不憫に思えた。



女探偵ナオミ



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