●更新日 02/28●
いやがらせの理由……3
夜中に庭先へ汚物を放り込む、といういやがらせ。
私達は3日間の張り込み調査の末、いやがらせ犯人の特定に成功。
犯人は向いのアパートに住む女性だった。
犯人の女性は、依頼者の娘の同級生の母。時々昼食を共にするほど仲が良く家族間のつきあいもうまくいっていた。恨まれる理由など、まるで思い当たらない。
「いったいなぜ・・・」困惑する依頼者と共に、私達は犯人の住むアパートの一室へ向った。
依頼者が呼び鈴を押す。応答があり、何気ない会話の後、ドアが開かれた。
いよいよ犯人の登場である。
その女性は「長谷川 京子」似の綺麗な女性であった。
私達は今日訪れた経緯を説明し、証拠品と証拠映像を示す。
女性は泣き崩れた。
嗚咽しながら、一言「ごめんなさい・・・」というのが精一杯だった。
警察に被害届けを出すこともできる。しかし、依頼者の娘と女性の娘は同級生。
ことを荒立てることが得策とは思えない。
嗚咽を続ける女性に「もう嫌がらせはしない」という旨の念書を書かせ、私達は立ち去ることにした。
最期に依頼者が犯人に問いかける。
「なぜ、こんなことを・・・?」
一呼吸おき、犯人は呟くように言った。
「あなたの娘が私の娘よりカワイイから・・・
幼稚園でも人気者だし・・・
あなたの娘が憎くてしょうがなかった・・・」
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後日。依頼者から電話があり、聞けば近々引っ越しをするとの事だった。
警察や近所の人には今回の件は一切言わなかった。現在も犯人一家はその場所で生活をしている。
嫌がらせこそなくなったが、娘に何かあったらと思うと、怖くて今の家では生活出来ない、とのことだった。
私達はどうすればよかったのだろうか? 無理にでも依頼者を説得して、警察に被害届を出させるべきだったか? それとも、あれで正しかったのだろうか?
あの一件から数年経った今でも、自分の中で正解が見出せないでいる。
あなたなら「ご近所トラブル」をどう解決しますか?
メタボリッカー予備軍
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