●更新日 10/17●
バウンティハンターの特権2
前回
ジョン・ベックマンは25歳の酒屋店員。
レジの金を少しずつくすねていたが、ついに店主に見つかり逮捕された。
ジョンの実家へ盗聴器を仕掛けた結果、ロス郊外のモーテルに潜伏していることが判明。
すぐさま私は現地へと車を走らせた。
ホテルの支配人に、ジョンの写真を見せて部屋の確認を試みた。
偽名で宿泊しているのは当然だが、更に変装を繰り返す逃亡犯も少なくない。
支配人は首をかしげて本人かどうか不確かだと言った。
逸る気持ちを抑えて、ジョンとミッシェルらしき人物が滞在している201号室を凝視しながら、車で張り込みをした。
この場合において大事なのは「張りみ」=「粘り」である。
これを怠って突入するのがアメリカ人の悪いクセだ。
日本人はある意味で辛抱強いので本人を確認せずに踏み込んで、いきなり銃をブッ放すようなミスは犯さないと私はいつも思う。
お国柄だから仕方がない。
夕暮れ時、201号室から男が出てきた。
写真と見比べるとジョンに間違いなかったので捕獲態勢に入った。
腰だめにした愛銃コルト45口径自動拳銃のホルスターのフックを外して、ジョンに近寄る。
銃を構えた私は叫んだ。
「フリーズ!!」
ジョンはおとなしくお縄になった。
彼を溺愛しているガールフレンドのミッシェルには気の毒だが、暫くの間は離ればなれの生活となった。
魔が差した犯罪は割に合わないものである。
ガル探偵学校
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