●更新日 01/23●

あるある大辞典と、エアコン業界


フジ系の「発掘!あるある大事典2」。この番組がまたもや問題を起こしたことは、既に皆さんも御存知の通り。

最近の納豆によるダイエットのブームを作り出したのも、この番組でした。各地のスーパーなどの店頭から納豆が消えるほどの売れ行きだと、盛んに報道されていましたね。ところが、番組で放映されたダイエットの検証内容に捏造が発覚しました。

この番組は数多くのブームを生み出すことで知られ、各種健康グッズの業界などにはこの上なく重宝されているわけですが、放映内容に問題があったという事例も多々あります。その一つが、一時期大ブームになり、その後すっかり定着してしまった「マイナスイオン」です。

あるある大事典で取り上げられて以来、マイナスイオンの発生を売りにした製品が数多く売り出されました。その一例がエアコンであり、エアコン業界の大手D社でエアコンの設置工事を担当しているAさん(仮名)から聞いた話を紹介しましょう。


マイナスイオンのブーム最盛期は、商品の設置工事の際に、特に主婦や高齢者からマイナスイオンの効果についていろいろと質問され、困ったとのこと。なぜかというと、マイナスイオンそのものの明確な定義や効果については、科学的な客観性が得られているわけではないからです。

要するに、「疑似科学」だから。

そのことを承知の上でマイナスイオン効果を売りにした製品を販売しているわけですから、それについて質問されても困ります。立場上、「効果はありません」とか「疑わしいです」などとは口が裂けても言えるわけがなく、逆に、科学的な確証が得られていないことを真実であるかのように語る訳にもいかない…と。

そこでAさんは、「私は設置工事担当なので、そういうメカニズムについての詳細は本社にお問い合わせください」と言って、いつも逃げていたそうです。客の中には、「でも、あるあるでも放映していましたよね」と更に聞いてくる人もいて、その質問に対しては「すみません、番組を見ていないので・・・」という返答をして、ごまかしていたとか。

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その後、景品表示法の改正に伴い、マイナスイオンの効果について、あまりいかがわしいことは書けなくなりました。

そこで各社は「マイナスイオン」という表現をやめて他の表現を用いたりするようになったわけですが、D社では依然としてマイナスイオンを売りにしていました。ただし、説明書やパンフレットの記述内容に一工夫したわけです。


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「超音波やマイナスイオンは渓流や森林に多く発生します。より快適なお部屋を創造します」

この文章では、マイナスイオンの具体的な効果については一切触れていません。「快適な」というのは個人の主観に依拠した表現なので、記述としてはギリギリOKという判断でしょうか。マイナスイオンの存在を前提にしている表現なので、この表現もかなり危険なのではないかと思うのですが・・・。まぁ、「マイナスイオンとは何か」という定義をしないで記述しているので、そこに逃げ道があるのだと思います。



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ちなみに書いておくなら、「マイナスイオン」という名称が付いている商品(ドライヤー、エアコン、クシ、空気清浄機)は全て何の根拠もない似非科学の商品ということを覚えておきましょう。


大手の業者にまでリスクのあるいかがわしい商品を販売させるほどの、あるある大事典の影響力は驚くべきものです。

でも、そのおかげで、現場の人々の苦労も絶えなくなるんだから、これもメディアの弊害か。



山木


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