●更新日 12/22●

たまには商業主義でない音楽を


パクリパクリと盗作問題が後を絶たない昨今の音楽業界。
人気アーティストにまで問題が及ぶ事態となっているから深刻である。

最近で騒がれたのは、数多くのヒット曲を生み出してきた槇原敬之。
ケミストリーに提供した「約束の場所」のフレーズが、松本零士氏の「銀河鉄道999」に出てくるフレーズと酷似していると大騒動になるも、決着の目処はたっていない。
また、多くの人気アーティストが所属し最も盗作疑惑が囁かれる大手レコード会社は、パクリや盗作ではなく「インスパイヤ」なる新しい言葉を出し始め、「真似ても盗むな」という、“マネはよい”と言っているようにも聞こえる決まりごとを作ったり……。

それもこれも過去のオイシイどころ取りの歌ばかりが売れ、それを良しとする業界の体質があるからこそか。
そんな音楽業界人の目を覚ますようなフランス映画『合唱ができるまで』が12月23日から公開される。

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フランスの女性指揮者クレール・マルシャン率いるアマチュア合唱団が一つのハーモニーを作り上げるまでのドキュメンタリー作品。
その映画パンフレットの中で音楽評論家・黒田恭一氏は、音楽を商品としか考えない商業主義の売名演奏家たちの“侵略”を指摘。
<その結果、音楽が心にひびいて感動を呼ぶことは稀になり、音楽としてはさぞや悔しい思いをしているのであろうが、……>
と現在の音楽業界のあり方を憂慮している。


今作品の主役クレール・マルシャンの来日トークショーが11月に行われた。

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パーソナリティを務めたのは、あの世界的な指揮者・小沢征爾氏の実弟で音楽ジャーナリストとしても活躍している小沢幹雄氏。
合唱団のユニークな指導法について質問される中で、「全身で歌う」という歌い方について
「フランス人は日常から手のアクションがとてもオーバーでこーやりながらやりますよねぇ」
と語った。


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なるほどオーバーアクション……。

音楽番組が盛んに放送されるこの季節、“音楽への愛と感謝の気持ち”を考えてみてはいかがだろうか?




「合唱ができるまで」

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監督:マリー=クロード・トレユ
出演:クレール・マルシャンとパリ13区立モーリス・ラヴェル音楽院合唱団
2004年/フランス/98分


⇒12月23日、ロードショー



サミー


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