●更新日 08/06●

阿曽山大噴火の裁判ショー


実際にあった裁判の話をしようかと思います。

今回はね、罪名『窃盗』被告人は38歳の男性。
窃盗ということで、何かを盗んだって事件なんですけど。

事件の前に、この被告人はどんな生活をしていたかっていうと、土木作業員として、日払いの仕事をしていたんです。
電話して、「明日仕事ありますか?」って聞いてあれば仕事するんだけど休みの日は、本屋へ行って万引きしてそれを古本屋へ売っていたんです。

休日返上でこんな事(万引き)やっているんです。お忙しい人です(笑)

この人、これまで3回“窃盗”で捕まっているんですが、すべて本の万引きなんです。
ある意味、本が好きな人なんですね。

本が好きな人=読書とは限らないってことが立証された訳なんです。

で、今回の事件が起きたのは、東京・神田の古本屋街。

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とある古本屋さんに入って、ガラスケースに入った“レア”なプレミアの付いた高価な本がたくさん並んでいたんです。
店長に言って、「ちょっと見たいんで開けてください」と開けてもらって、店長が目を離しているスキに、『寺山修司の原稿』を盗んだんですよ。
今までは、本だったんですけど、今回は“生原稿”ですよ!

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これを聞いたときに、この被告人、『寺山修司のマニア』なのかな?と思ったんですけど、「これは転売に間違いない」とわかったんですね。
っていうのも、原稿用紙5枚で、販売価格が45万円!!1枚、9万円もするわけですよ。
そんな大事なものを、店長、目を離すなよ!と言ってやりたいワケですよ。

で、被告人はこの、45万円する原稿を持って、別の古本屋に入るワケです。
しかも、なぜか神田で売ろうとしているんです。手短なところで。
そしたら、「原稿は買い取れません」とどの店に行っても、断られたって言うんです。
1日に十数軒廻ったんですけど…。

被告人はお金に困ってますから、考えたワケです。「原稿の価値が分かってる、取り扱っている店じゃないと買い取ってもらえないな」と。

次の日、朝一番で売りに行ったお店が、『盗んだお店』

ここだったら価値が分かるだろうって事なんですかねぇ!?
店長もビックリですよね。
「無くなったぁ!」って言ってたんですが、次の日の朝一番に犯人と共に戻ってきたんですから。
「買い取ってください」ってセリフが「捕まえてください」に聞こえちゃう(笑)


裁判がなかなかグタグタだったんですよ。
これは、限りなく自首に近いだろうってことで、検察官も事件の事はあまり聞かなかったんですよね。

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検察官:「あなたね、似たような事で何回も捕まってますけど、悪い事したと思ってるんですか?」
と聞いたんです。思ってるか、思ってないか、YESかNOかを答えればいいのに…
被告人:「反省はしてるんです。ただ自分としても生活費の工面が出来なくて、切羽詰ってたんです。人通りの多い道を自転車に乗って、右へ行ったり左へ行ったり、それでもどこへ行っても買い取ってくれなくて、空を見上げれば夕焼け空で……」

まだまだ話は続きました。

検察官:「話長いね!」

そらそうですよ、ハイかイイエを聞きたいんですから。
さらに被告人は黙ってないんですね。

被告人:「すいません…これクセなんですかねぇ…喋り出すとついつい止まんないんです。ただ、自分としては、盗んだ後にどう動いてっていう経緯をすべて聞いてもらわないと…」

と言ったあとに検察官が出てきて、
検察官:「こらっ!また喋り出した!!」

なんか、かくれんぼで「見つけた!」みたいに(笑)
満面の笑みで言うんですよ。
「お前ら仲いいんじゃねぇか!」と思いましたよ。

その後も、まだ被告人だらだら喋って、検察官が
検察官:「あんた、そうやってね人の話聞かないで、だらだら喋ってるのはねぇ…」
    「よぉ〜くな〜いぞぉぉ!」

全然、怒る気ないんですよ(笑)なんか仲良しな感じでやってました。

で、最後に裁判官が質問しました。
質問すると被告人がたくさん喋るって分かってるから、手短にね1問だけ質問したんです。

裁判官:「あなた先ほど反省してるって言ってましたけど、誰に対して謝罪したいんですか?」

被告人:「私が原稿を盗んだ被害店の店長と…」

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寺山修司に謝りたいです


それは違うだろ!



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