●更新日 05/29●

万引きで日給1万円


Aさんが体験した変わったバイト、それは

万引き

いや、正確に言えば 万引きを防止する為の万引き 。
これは2人1組で、1人が警備員、1人が万引犯になり、依頼を受けたスーパーの中で本物さながらの捕物を演じる。
芝居とは知らない客に 、捕まった万引き犯の無様な姿を見せることで、万引き防止の効果を狙う。

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まず店に行くと配役を決め、その後店長と打ち合わせ。
何時にやるか、何の売り場で何を盗むか等、細かに決める。

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“開演”時間が迫るとやはり緊張したという。
犯人役のAさんは打ち合わせどおりに鳥肉を盗んだ。

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そのまま店を出たところで警備員役の女性がAさんを捕まえる。
泣きながら土下座するAさんの周りに人だかりができる。
店長もその様子を見て満足している。

大成功である。

地方の場合、この“事件”が口コミで街中に伝わるので万引き防止効果抜群だという。
ちなみにAさんも、相方の女性も 、本職は俳優とのこと。



しかし、思わぬアクシデントもつきもの。

基本的にアドリブが自由なので、別のスーパーでは、開き直る設定でやっていた。
すると開き直るAさんに対し中年男性が怒鳴りつけてきた。
ここで、すっかり役に入り込んでいたAさんは思わず

「関係ないんだから黙ってろ!」

と中年男性を怒鳴りつけてしまった。
このときは相方の女性が機転を利かせAさんを連行し事なきを得た という。

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別のスーパーではやはり鳥肉を盗み、捕まったAさんは泣きながら土下座し、アドリブでこう言った。

「腹が痛いのでトイレに行かせて下さい!」

相方の女性も

「そんな悪いことして腹痛いも何もないだろう!こっちに来なさい!」

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大勢の“観客”が集まってきて、すっかり気持ちよくなったAさん、悪ノリで返したアドリブは

「鳥肉はもう一生食べませんので!」


ブッ!・・・アハハハ…
予想外のセリフに、思わず店長が笑い出してしまった。


・・・幸い、これが芝居であるとは客にバレず、後で店長から笑いながら注意された程度で済んだそうだ。



このバイトは日給1万円。
俳優のAさんにとっては、オイシイ稽古でもあった。



リ・コウジ写真


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