●更新日 10/08●


ヌリカベ伝説を探せ!


2007年8月、「ぬりかべ」と名前入りの妖怪が描かれた絵巻が発見されたと、朝日新聞他で紹介され話題になった。
アメリカ・ブリガムヤング大ハロルド・B・リー図書館蔵、L・トム・ペリー・コレクションから発見されたもので、その姿は白い獣のような体型で目が三つ、牙が描かれている。

私たちがイメージするヌリカベとはまったく違う姿だが、それもそのはず、私たちがヌリカベと聞いて思い出すあの姿は漫画家・水木しげる氏が想像したものなのだから。

ヌリカベといえば、以前筆者もその伝承について調査したことがある。
言わずもがなだが、ヌリカベはメジャーな妖怪である。
これは水木しげる氏の「ゲゲゲの鬼太郎」にレギュラー妖怪として採用された影響のためだが、それ以前のヌリカベは一部の地方でしか語られないマイナー妖怪でしかなかった。



そもそも、その存在が知られたのは、柳田国男の「妖怪談義」の中の「妖怪語彙」にその名が載ってからである。
そこに記載されているのは「福岡県の遠賀の海岸に出た怪」となっている。

また1967年に丸山学が「カベヌリ」なる妖怪の報告をしている。
この丸山の報告には出現地が記載されていない。
只、丸山学が九州を中心に民俗学の研究を展開したので「カベヌリ」もひょっとして九州に出たのかという推定ができる程度であった。

昨今、民俗学、特に妖怪学に興味を持つ若者達の間では、かつて柳田が行った民俗学調査の追跡調査を行う事が活発化している。
ここ数年の間に、ヌリカベについて全国の妖怪愛好家が探索の手を伸ばしたが、発見には至らなかったのである。

戦後50年〜60年の間にヌリカベの伝承は消えてしまったのであろうか?
或いはヌリカベという妖怪は柳田国男の誤認、誤記、或いは証言者の勘違いであったのであろうか?

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山口敏太郎



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