●更新日 09/15●


ケネディ暗殺の真犯人(後編)


ケネディの下で副大統領に就任していたリンドン・ジョンソンは、この動きを受け、ウォーレン報告書という調査文書をまとめ、オズワルドの単独犯行説を公式に採用し、背後関係は無いと早々に事態を収拾させてしまう。その肝心のオズワルドは、ルービーに口封じの為か射殺される。またそのルービーさえも死亡してしまい、表に出ていた犯人側の登場人物は全て死んでしまうのだ。こうして、副大統領であったリンドン・ジョンソンは、次期大統領の座を手に入れ、第36代アメリカ大統領に就任する。アガサ・クリスティの名作「オリエント急行殺人事件」のように、この事件の犯人は、容疑者全員である。ジョンソン、CIA、FBIが立案し、マフィアが複数のヒットマンを使った複数犯による犯行なのだ。

ところでケネディの暗殺犯の黒幕は、ジャクリーン夫人であるという説がある。無論、この説はあり得ないとされているが、その動機としてケネディ夫妻の不仲が筆頭に挙げられる。事実、ケネディの女癖の悪さは有名で、婚約中どころか新婚時代も女遊びをやめることは無かった。妻のジャクリーンが妊娠した時も、まったく気遣うこともなく、初産を流産後、再び妊娠し死産した時も、ケネディは気にすることなく、妻を残して友人たちと、地中海クルージングに出かける始末。
大富豪オナシスと再婚したジャクリーンを責める人もいるが、それは気の毒であろう。だがここまでやられた彼女であれば、ケネディに殺意を抱いても不思議ではない。

検死写真を見るまでもなく、オズワルドが単独でやったとはいえない。
有名な「魔法の弾丸」という言葉を聞いたことがあるであろうか。もし暗殺犯がオズワルド一人だとしたら、1発目の銃弾は大統領の背中と胸とを貫通し、大きくカーブを描き戻って再び前進し、前席に座る州知事の胸・手首・ふとももを貫通したということになるのだ。こんな弾道はあり得ない。

歴史の浅いアメリカは、新しきものに古き価値を見出すことがある。
例えば、映画の「スターウォーズ」は、アメリカの神話であり、都市部を中心に広がるアーバン・フォークロア(都市伝説)はアメリカの民話や伝説であると言うのだ。
そして、ケネディ一族は、アメリカのロイヤルファミリーだと言われている。
王家を持たないアメリカ国民にとって、ケネディ家は、王室的役割を果たしているというのだ。
だが、アメリカの支配階級はワスプというアングロサクソン系によって固められている。
白人の中でも軽んじられたイタリア系がマフィアによって力を伸ばさざる得なかったように、アイリッシュと呼ばれるアイルランドからの移民であるケネディ家も、非合法な活動により、富を築くしかなかった。
この、のし上がったアイリッシュをワスプが不快に思っていた事は事実だ。

ケネディ家の歴史は、悲劇と死の連続である。
ケネディ大統領以外にも、44年にケネディの兄が欧州戦線で小型機を操縦中に死亡。
兄弟のキャサリンも48年、同じく航空機事故で死亡している。
ケネディの息子・パトリックも暗殺事件の3ケ月前に、生後2日で死亡。ケネディの遺志を継いだ弟ロバートも暗殺される。更に弟の工ドワードは、スキャンダル事件で政治生命を失う。
この呪いはケネディの兄弟の代だけでは止まらなかった。孫たちの代も麻薬、スキー事故などで次々と命を落としていくのだ。そして、ケネディの葬儀の際、敬礼を行い全米中の涙を誘ったジョン・F・ケネディ・ジュニアさえ、飛行機事故で命を落としてしまったのだ。
ケネデイ家の不幸はアメリカの歴史でもある。


山口敏太郎



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