●更新日 08/05●

吉原「見返り柳」にあらわれる遊女の霊


浅草での取材の帰りに、タクシーを使った時のこと。
時刻は深夜1時すぎ。
運転手が妙な話をしだした。

「お客さん、この辺に出るんだよ」

場所は台東区北千束、いわゆる「吉原」の王門付近。
吉原とは、言わずと知れたソープランドのメッカ。
江戸の頃は遊郭地帯として知られ、それが現代まで息づいているというわけだ。

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江戸時代は一大遊郭ゾーンとして栄えていた吉原。
写真は今のソープランド街


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「吉原王門」は現在、交差点名として残っているが
当然、門はない



「同業者もたびたび見てるんだ。この柳のところだよ」

見ると、ごく普通の柳と、石碑がある。

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見返り柳の後方には24時間営業のガソリンスタンドがある

興味をそそられて後日、現地に向かった。

石碑の説明によると、この「見返り柳」の由来は、
男がイイ思いをして帰路に着く時に、街の出入り口だった王門でうしろ髪を引かれて、柳の位置で振り返るからだと記されてある。
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江戸時代にはもう少し東の位置にあったという
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由来は本文の通りなのだが…


だが、これでは心霊現象の噂とは結びつかない。
そこで私は古くから吉原に出入りしている風俗ライターのS氏に連絡をとった。
すると・・・
「遊女の霊の話はソープがトルコと呼ばれてた頃からあったよ。
地方から売られてきて脱走しようとして門の所で捕られられちゃうコが多かったらしい。
辛くて自殺したコも当然いただろうね」


また地元の主婦は
「あそこのガソリンスタンドが24時間営業をする前は、結構そういう目撃談はあったよ」

他にも、近くを流れる隅田川に入水自殺した遊女も少なくなかったらしく、
その霊が柳に取り付いているんじゃないかと自説を展開するソープ関係者もいた。
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江戸時代は大川と呼ばれていた隅田川。
気だるくどんよりとした印象


あのスタンドがなければ、もっと目撃例は増えそうな気がした。
なぜならば、風が吹いていないのに枝が揺れていた姿を見た人も多いからだ。



そして






かくいう私もソレを見てしまったのだから。



デイブ高瀬


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